V36スカイラインセダンが登場した際、筆者は開発責任者の大澤辰夫氏にV36スカイラインの開発について話を伺う機会があったので、その内容を紹介したいと思います。
もし先代の販売台数がV35スカイラインの分しかなかったら、スカイラインは間違いなく絶版になっていました。私達は、インフィニティG35の2代目を創ったつもりはありません。インフィニティG35が稼いでくれた儲けを注ぎ込んで、V36スカイラインを開発したんです(笑)
デザインは、スカイラインのアイコンであるフロント横目とリア丸目4灯を採用しました。走りもメカもスカイラインらしくスポーツに振り、エンジンもパワーアップして俊敏なドライビングを実現。ドライバーが頻繁に操作するパドルシフトにもこだわって、コスト高なマグネシウムを採用しました。
(公道で回せる2.5Lのセダンにこそ、是非MTが欲しい!という筆者の申し出に対して)私もデザイン責任者もMTが大好きで、2人とも愛車はV35スカイラインクーペの6MTなんですヨ。本当は2.5Lにも6MTを組みたいのですが、国内専用の2.5Lセダンで販売が見込めない仕様は、経営層がOKしてくれないんです。
6MT仕様なら、次のクーペにも設定する予定です。私達が絶対良い車に仕上げますから、是非買ってください!(うちは5人家族なので4人乗りは駄目なんです、と回答したらとても残念そうでした。)
正直言って直接話を伺うまでは、開発責任者や開発陣が、こんなにも率直かつ熱いハートでスカイラインを創っていたとは思っていませんでした。残念だったのは開発陣の熱意とは裏腹に、V36スカイラインが、Rシリーズの印象を強く残すスカイラインファンのハートを射抜けなかったこと……
あらためて、開発陣が創りたいクルマと消費者が求めるクルマ、そして経営が必要とするクルマが、なかなか一致しないという現実を実感した次第です。
(星崎 俊浩)
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