テーゲルンゼーからの帰り道は530dツーリングに乗り換えた。2リッター4気筒でも充分だと思っていたが、3リッター6気筒に乗ると、上には上があることを知った。
やはり最大トルク400Nmと620Nmの違いは明確だった。この最大トルクはアクセルペダル全開のときの数字ではあるが、その手前のアクセル開度の余裕が違う。軽く踏んだところからググッと力強く、さらに踏み込んだらそのまま力が出るという感じの加速感だ。右足のゆとりが精神的にもドライブを楽にしてくれる。
市街地走行ではアイドリングストップがとてもスムースになったことが大きな進歩だと思った。クルマが止まってエンジンがアイドリングストップするまでに変な振動がなくスムースだ。そして再始動するときも振動なくスルッとエンジンがかかる。
これはエンジンマウントの改良の効果だそうだ。幅広い周波数の振動を吸収できるマウントゴムを採用したこととボディの静音性と剛性の高さが効いているらしい。
3リッター6気筒エンジンの方が2リッター4気筒エンジンより重いはずだが、その重さがあまり悪くは働いていない感じだった。確かにハンドルを切ったときのスイスイとノーズが向きを変えていく様子は2リッターエンジンに分があるが、ミッドシップマウントしてある3リッターエンジンも決して悪くはない。
ボディと一体になって動いてくれる3リッターエンジンも充分に軽快なハンドリングである。また直進時のピタッと落ち着いた感じも高級車らしい雰囲気がある。BMWはやはり6気筒じゃなくちゃ、というファンのための期待に応えている。
アクセル全開での加速時には4気筒よりモゴモゴ音からゴロゴロ音に近くなり、音量も少し大きくなるが、それでも充分に静かである。4000rpmを超えてシフトアップするところでも振動はとても小さく、6気筒らしさを実感できる。高回転になってからも低回転からの力強さが持続している。
現時点では530dツーリングは日本に入って来ないようだが、近い将来にぜひ入れてもらいたい車種である。530dツーリングはそれほど素晴らしいできたと思う。
(菰田 潔)