プラグインハイブリッドとしてのパワートレーンの出来の良さは、世界に誇れるものとなっていますが、いくつか気になるのが、重いバッテリーを搭載する影響が乗り心地やハンドリングから感じられること。
これは、2015年6月のマイナーチェンジ時でも確認済みでしたが、電動車両によく見られるバタバタとした乗り味、そしてコーナリング時にリヤが重いためか、「ワンテンポ」遅れて曲がっていく癖があることです。簡単に言うと、ステアリングを切っただけ素直に曲がってくれずに、切り足す感覚が求められます。
これが軽くてバランスのいいガソリン仕様であれば、両方ともにある程度改善されているはずで、元々ガソリン車を想定したアウトランダーをPHEV化した泣き所でもあります。
今回のマイナーチェンジでは、ダンパーの構造見直し、減衰力の最適化などが図られていて、試乗車の「S Edition」にはビルシュタイン製ダンパーが採用されていますが、「バタバタ」とする乗り味は完全には払拭されてないようです。
この乗り味とハンドリングについては、スムーズなPHEVのパワートレーンの高い完成度からすると些末な点ではありますが、この点が解決されれば世界トップクラスの完成度を誇るPHEVにまで昇華するはず。なにせ高速道路に入ってもバッテリーが残っていれば、EVそのもののパワフルなモーター走行は感動すら覚えるからです。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)