旧TRWと一緒になった新生ZFジャパンの実験施設と中根義浩社長に話を聞いた!! ZFのビジョンゼロとは?

自動車部品の開発最前線の場ですので残念ながら撮影はすべてNGでしたが、実際の実験・開発の現場を見ることができました。

元々はTRWオートモーティブの施設ということもあり、シートベルト、エアバッグ、ブレーキなどに関する設備があるほか、セレナに納入されているプロパイロット用カメラ&画像処理ユニットと並んで次世代のカメラと映像処理の実験などが行われている車両を見せてもらいました。

例えばスレッド試験室。自動車が衝突した衝撃をシミュレートでき、ダミー人形にかかったGを計測するなどでシートベルトやエアバッグの設計に役立てています。

このほかに、ZFの主力商品の一つであるダンパーのセッティング用トラックもあります。このトラックは、自動車メーカーなどの開発現場、つまりテストコースなどにパーツ類、測定機、工具類、そしてエンジニアを一緒に運んでいき、その現場でセッティングを変えたダンパーを即座に組み上げ、開発中の車両に装着してテストをしてもらう、というためのもの。ZFでは欧州にはあったそうですが、日本でもやっと稼働し始めたとのことです。

 

そんな新生ZFジャパンの代表取締役社長には、新たにTRWオートモーティブジャパン出身の中根義浩氏が就任しました。中根社長は、1981年に当時の東海TRW株式会社へ入社し、1997~1998年には米国本社であるTRW Inc.(オハイオ州クリーブランド)に勤務経験もあるTRWの生え抜きだそうです。

中根社長によると、ZFとTRWが一緒になることによるシナジー効果により、『日本において責任を持ってZFグループをリプリゼント (代表)し、「優れたパフォーマンスとモーション、モビリティーにおける 世界基準技術」における開発パートナーとして選んでいただくべく、 お客様の信頼を勝ち取ることをビジョンに、ZFジャパンのミッションは革新的ソリューションを日本に本社を置くお客様にグローバルに提供し、「ビジョンゼロ」社会の実現に貢献する』としています。

「ビジョンゼロ」とは、交通事故ゼロ、エミッションゼロを目標とするビジョンです。

そんな中根社長の趣味は、「音楽、怪獣、プラモデル」だそうです。音楽は1968年から74年くらいの限られた年代のイギリスの音楽、好きな怪獣はケムール人、プラモデルの対象は戦車、とのことで、かなりピンポイントにこだわりのある趣味人であるように思いました。

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出来上がった自動車に触れる機会は数多い我々ですが、自動車の開発の中心部に入り込むのはなかなかできるものではありません。ZFがそうした拠点を見せることにはそれなりの自信があることなのでしょう。衝突被害軽減ブレーキ、歩行者保護装置、運転サポートなどを始めとする自動車の電子制御化は必須であり、その開発にかけるリソースは各メーカーで限られており、ますます集約されていくことが予想されます。集約された結果がメガサプライヤーと呼ばれる巨大部品メーカーですが、その大きな潮流の中でZFや純日本のサプライヤーたちの動向に注目が集まりそうです。

(clicccar編集長 小林 和久)

 

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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