エンジン2基壊れ、諦めムード・・・
「これまでの記録を上回るくらいじゃないと、悪いけど出場しないよ」・・・これが、雨宮の挑戦の弁だった。従来の自己最高は13Bペリの258.06km/h。が、心中ではトラストの大川トランザムが先にマークした264.71km/hを破りたいのはミエミエだった。
本番は火曜日、その前の金曜日に組んだエンジンがまず壊れた。土曜日に2基めに載せ換えたが、これもブローアップ。最後のトライとして、3基めを日曜日に徹夜で組んだ。が、今度はエアリサーチ製のターボが壊れたのだ。雨宮はこれで完全に諦めた。編集部にも出場取り消しの電話が入ったほどだ。
が、雨宮が当日、早朝に目覚めると、工場ではKKK製のターボを組んだRX-7が出来上がっていたのだ。若いメカたちが、またも徹夜で組んだのである。「ここまでやって出場しないと、これまでの努力が水の泡だ。何とか走らせるだけ走らせよう」という意気込みである。
が、雨宮は「どうせ、また壊れるよ。オレはカッコつかないから、谷田部に行かないよ」と自宅で待機していた。
「277.45km/h!」の電話が雨宮に入ったのは、当日の午後4時過ぎだった。「いやー、ホント若い衆のおかげだよ。オレは幸せものだ。1周しか走れなかったけど、エンジンは何ともなかった。これからは、ミッションや他の部分を対策しないといけないね。ワークスの13Bペリ(ファニーレーシング:262.29km/h)に勝てたのもウレシイよ!」