ナンでもカンでも違法の80年代に「死喰魔カミナリZ」が公認車検取得できたワケは「個人の楽しみ」だったから

今の時代、チューニングカーの公認取得というのは、格別なことではなくなっていますが、この記事の時代、80年代に、堂々と公道を走れるチューニングカーの公認取得は、なかなかどーして、難しいものだったのです。

今じゃどんなパーツでも車検対応パーツがリリースされていますが、この時代には車検対応・・・なんて言葉すら存在していなかったのですから。すべてが違法、マフラー交換も、タイヤサイズアップも、ドアミラーだって、まだまだ違法改造としか言われない時代なんです(悲)。

そんな時代に、ショップ名も妖しげ?な死喰魔(シグマ)が、ブリブリボディのカミナリZの公認を達成!という記事がコレです。時代の最先端をいっていたともいえる死喰魔Zをチェック!

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グラマラスなボディが魅力!

エキサイティングカーショー(注;東京オートサロンの前身)への出展などで話題を集めた死喰魔のカミナリZが、ついに陸運局の認定を獲得した。これで、大手を振って、ストリートを走れるわけだ。

このカミナリZは、カリフォルニアの日産ディーラーから購入したキットパーツに、オリジナルモディファイを加えて完成させたもの。他にも、カリフォルニアでは、ジム・クック製やケントレーシングなどでカスタムキットを製作し、広く販売している。

<街中での注目度は抜群。ポルシェ928に似たスタイルには、思わず目を引き付けられる。>

公認されるまでは、様々な難関があり、死喰魔の竹内氏はひとつひとつ解決し、ついに、認定にこぎつけたのだ。中でも、最も難問とされていたのは、暴走族を助長する恐れがある、という当局の心配だ。この問題に対し、個人としての楽しみであるという理由で認められたのだが、製品すべてに対しては公認されなかった。その点、竹内氏は「3ナンバーの車幅には相当な余裕があり、問題ないハズ。また、全長やホイールベースに変更は無いので、認められないのがおかしい」と主張する。

<リヤウイングは分割式。テールゲート開閉可能。空力特性がよく、このままサーキット走行のできるサイズだ。また、リヤフェンダーに合わせるように、ドアも膨らみがつけてある。また、サイドステップもイヤミのない大きさだ。>

このカミナリZは、陸運局の意向により、東京都練馬陸運事務所で認可されている。しかし、この陸運事務所で竹内氏所有によるカミナリZは、もう公認しないという。だが、竹内氏所有でないカミナリZには、公認の道は残されているわけだ。だから、このカミナリZのパーツ購入と同時に、改造申請に必要な書類すべてが用意されており、購入者個人で申請する形式となっている。

どうして、このようになったのかといえば、前述した改造の目的理由が、個人の楽しみのためだから、である。

<フェンダーアーチは四角になっており、非常に大きくオーバーハングする。リヤは10Jのホイールに265/50VR15のタイヤを組んで、この外観だ。300km/hフルスケールのスピードメーターが猛々しい。>

このキットが装着できる車種は、S130系すべてだ。マイチェン後のS130系でもOK。また、3ナンバー、5ナンバーも問わないし、2シーター、2by2もOK。しかし、認可されるかどうかは別問題で、現在、認可されているのは3ナンバーの2シーター2台。また、申請中として3ナンバーの2by2がある。

だが、恐れることはない。個人の努力によって公認が可能だし、必要なものすべてを死喰魔で面倒みてくれるのだから。あとは、レッツ・トライ!

<改造申請に必要な書類一式。30万円也。図面を専門家に書いてもらうだけで、20万円かかるそうだ。>

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今の時代に走っていても、決して見劣りのしないスタイルの死喰魔カミナリZ。カッコイイ!!

[OPTION 1983年6月号より]

(Play Back The OPTION by 永光やすの)

 

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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