EVモードが拡大され、ビルシュタイン脚になった新型アウトランダーPHEVを公道試乗

新設された「Sエディション」の特徴はシャシー性能の強化にあります。構造用接着剤をリヤ周りを中心に塗布することでボディ剛性をアップし、ビルシュタイン製のショックアブソーバー(フロント倒立タイプ)を与えています。

マッド&スノータイヤを履いていることもあり、ビルシュタインだからといってスポーティ過ぎることなく、SUVとしての気持ち良い走りを目指したセットアップとなっていることが確認できました。

アウトランダーPHEVの駆動系は2.0リッターガソリンエンジンと前後独立モーターを組み合わせたハイブリッド4WDで、基本的に市街地走行ではモーターだけで走ります。つまり、発進からトルクフルですし、変速ショックもないので駆動系の雑味が少ないのが美点です。

さらに、前回のマイナーチェンジで回生ブレーキ(モーターで発電することで減速すること)の強弱をコントロールできるパドルシフトが付いていますから、ちょっとしたワインディングではアクセルペダルだけで加減速をコントロールするワンペダルドライビングが楽しめます。

そうしたシチュエーションにおいて、ビルシュタイン・サスペンションなどでハンドリングを引き締めた「Sエディション」の良さは際立ちます。リズムにのって運転していると、最低地上高が190mmもあるSUVであることを忘れてしまうほどの安定感があります。床下にびっしりとバッテリーを搭載したパッケージのメリットをビルシュタインを使ったサスペンションが引き出しているといえそうです。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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