去る2月28日、パリのヴァンドーム広場から遠からぬヴォルネー通りで、DSは新しいフラッグシップ・モデルとなる「DS 7クロスバック」のお披露目を行った。3月9日から一般公開が始まるジュネーブ・ショーに先立っての、事前発表会だ。
PSAの最新世代、EMP2プラットフォームをベースに新たなマルチリンク式かつアクティブ制御のサスペンション、そして新開発の1.5Lディーゼル・パワーユニットやフライ・バイ・ワイヤの8速ATを搭載するなど、基本骨格からしてかなり野心的な一台。
数字が示す通り、現行の最上位モデル、DS 5より上のクラスという訳だが、じつは日本や欧州では展開されなかったDS 6クロスバックという中国市場向けのSUVは存在した。だが新興国市場も成熟期への曲がり角にあるという見込みの下、先進国の成熟市場と同じモデルを展開・統合するモデルとして、いわばハイエンドからの世界戦略車といえるのが、DS 7クロスバックだ。
具体的にはアウディQ3やBMW X1、ボルボXC60やレクサスNX300hらと、プレミアムCセグメントのSUVとして競合する。発表値でのボディサイズは4.57×1.89×1.62mと、堂々とした体躯といえる。
ちなみに新車の発表会といえば、大ホールのステージの上で、うやうやしくアンヴェールされた後にCEOが身振り手振りを交え熱っぽく独演……という、おそらくスティーブ・ジョブズ以降にグローバル企業のお約束となった方法論に、DSは敢えて従わなかった。
まるで美術館や博物館を巡るガイド付き訪問のように、インテリア内装や走行機能各種のプレゼン台で担当デザイナーやエンジニアの解説を聞きながら、小部屋から小部屋へと移るのだ。それはむしろ、ファッションやジュエリー・ブランドの展示会の体裁に近く、クルマ全体は最後に見せるという一風変わったアンヴェールだった。