吹き荒れる「トランプ旋風」。トヨタはかわせるか?

トランプ氏は両メーカーに対して、「米国で生産するか、高関税を払え!」とSNS上で息巻いており、米国トヨタはこれに対し「メキシコ新工場によって米国の生産や雇用が減ることはない」と強調。

TOYOTA

おりしも、8日には米デトロイトで北米国際自動車ショーが開幕することから、豊田章男社長が、これまでの米国内の雇用への貢献や、今後の投資の考え方などを現地で説明するものと予想されます。

日本政府はトランプ氏がトヨタにメキシコ工場建設撤回を求めたことに対し、大統領就任前ということもあり、コメントは控えているようですが、今後の動向次第では何らかの交渉が必要になるかもしれません。

トランプ政権が今後もメキシコでの自動車生産への圧力を強めた場合、60年代にメキシコで生産を開始し、最大の生産規模(3工場:85万台/年)を持つ日産への影響も予想され、同様に1995年にメキシコに進出したホンダ(2工場:26万台/年)や、2014年に進出したマツダ(1工場:25万台/年)も固唾を飲んで動向を注視している模様。

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一方、同じくメキシコに工場を持ち、2016年の世界販売台数でトヨタから首位奪取を目論むフォルクスワーゲン(VW)の場合は、グループ傘下のアウディや、ポルシェを含めても米国市場における年間販売台数は60万台に届かず、当面目をつけられることは無さそう。

VWの主力市場は、あくまで中国であり、米国を発端としたディーゼル車の燃費不正問題が取り沙汰されたものの、既にEV戦略に転じて巻き返しを図りつつあります。

トヨタは現在のところ、メキシコ生産に関する方針見直しは無いとしていますが、もし高関税が課せられれば、主力市場である米国で価格競争力が低下、逆に工場建設を撤回した場合はメキシコ政府への責任問題が発生するなど、同社にとっては難しい舵取りを強いられそうです。

Avanti Yasunori・画像:トヨタ自動車)

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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