さて次にボンドは、九州僻地の古城に有毒即物、動物を集めた庭園をつくり、自殺志望者が数百人犠牲になった事件について、日本秘密機関のタイガー田中に調査協力することになります。ボンドは謎の欧州系城主夫妻を追います。ボンドは、ふたりが愛妻ステーシィを殺害した超悪漢ブロフェルトとパートナーのヘルガ・ブラントであることを知ります。
フレミング原題『人は2度しか生きない』の翻訳版と映画の名/迷?タイトルは『007は2度死ぬ』」です。
みなさん、2000GTオープントップを想起するでしょう。ボンド映画カーの人気車上位のクルマですが、原作に名前が出るのは“トヨペット・サルーン”で、2度とも登場は黒い覆面警察車です。1964年ですから、2代目クラウンとなります。
初代と2代目クラウンを構想し、開発を指揮したのは、トヨタ自工の中村健也主査でした。中村主査は、コロナ、初代センチュリーの主査であり、その後、役員の座を固辞され、生涯、先進技術研究の道を進まれました。たしかトヨタ最初の技監となられ、自動車用ガスタービン研究試作に熱意を注がれました。センチュリー・ベースとトヨタ・スポーツ800ベースの大小2台のガスタービン発電シリーズ・ハイブリッドを試作されました。
原作のトヨペットと映画の2000GTオープントップには、繋がりがあります。中村主査の2代目クラウン開発チームの主要メンバーが、私の畏敬する河野二郎主査/第7技術部長でした。
河野主査こそ2000GTとコロナ・ハードトップ・ベースの1600GT開発を指揮した方です。映画タイアップで、2台の2000GTオープントップの製作秘話、珍話を話して下さいました。第7技術部は、トヨタのレーシング部で、2000GT、3.5L からカンナム目標の5Lツインターボまで製作、レース、試走をしました。
タイガー田中の部下と福岡県警のふたりの警官、確かな運転技倆を発揮します。後者は、田中・ボンド車の後方から迫る1台のモーターサイクルをかわせとの指示に応え、見事なドリキン・ターンで脇道にとびこみます。“ホンダ500”が通り過ぎると、後退、そして追跡、サイレンを鳴らし停止させます。しかし、ライダーは自殺します。ホンダが最初の中排気量モデル、CB450を発表したのは1964年ですので、フレミングの先見か、あるいは情報部員の秘密入手?“ホンダは、1974年には、ロングストローク型CB 500Tを加えています。
(山口 京一)