自動車雑誌の聖地「高原書店」店舗閉店するわけは?

と、通されたのは事務所の中。思った以上に働いている人がいる。個人店舗の書店なら多くても同時には2〜3人のイメージ。けれど、店頭に2人、事務所には4人程度働いている。

そこで、まず見せていただいたモノはここに書いちゃいけなそうなモノ、出処を明かしちゃまずいんじゃない?ってモノが山盛り。例えば、その後、大変話題となった車両の開発資料と設計図とか、超有名ドライバーになった人のメーカーへ自分を売り込んだ時の手紙とか、社内資料と思われる某メーカーの工作機械の計測データとか・・・。

高原「こういうすごいモノがここに集まって来ちゃうのよ。なので、店頭でお客さんとこんな雑誌があるのかとかお話しするのも、100円のカタログを売ってるのもいいんだけど、それ以上にやりたいことがいっぱいあるんだよね」

ーー「うーん、そうでしたか。恐れ入りました」

高原「けれど、それは出せないし、一般の人にわからないから、こんなモノがあるってのでわかってもらえるかな」

といって見せていただいたのが以下です。

プリンスから日産へ移ってすぐのスカイライン、いわゆるハコスカのパトカーのカタログ。

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徳大寺有恒さんがまだ本名の杉江博愛(すぎえ ひろよし)で執筆していた頃の単行本に徳大寺有恒になってからサインをした書籍。

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英国の英雄的な有名ドライバー「スターリング・モス」氏のレコード(録音されているのが歌なのか何かは不明)。

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ル・マン、WECなどレースシーンが収録されていると思われるレーザーディスクの対抗馬「VHDディスク」(再生プレイヤーがないので内容は想像です)。

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これらもすごい。ようするに、ただ古いモノとか発行部数が少ない、というレベルを超えて、もうこれしかない!そんなのがあったなんでてほとんど知られてない!というレベルのモノばかりです。

そんなモノたちが集まり、その価値判断ができるのは高原さんだけど、そのようなものを大事にしていくのは高原さん自身でしかない。その時間に専念するための店舗閉鎖なんだろうと思いました。

紙の媒体に書かれている内容はデジタルとしてデータで残すことはできるでしょう。しかし、「現物」として紙の臭い、手触り、焼け具合などでその時代を訴えてくれます。商売としてどのような勝算があるのかまではわかりませんが、確実に儲かるようなことなら誰もがやっていることでしょう。

自動車の雑誌を子供の頃から読んで育ってきた者としては、高原さんのようなかたが日本にいてくれることが、勝手ながら頼もしくも誇らしく思えました。

(clicccar編集長 小林 和久)

【関連リンク】

閉店セールや今後の営業については以下です。

今までのご利用頂きました感謝の気持ちと致しまして、最後のバーゲンセールをさせて頂きます。期間は10月20日(木)から最終営業日の11月23日(水・祝)とさせて頂きます。

尚、今後は当社ホームページ、ヤフーオークションなどの通信販売のみの無店舗営業をさせて頂きます。
今回の営業形態の変更に伴いまして、誠に申し訳ございませんが現在のようにヤフーオークションの落札商品、通信販売でのご注文商品などを店頭でお引き渡しすることが出来なくなり、すべてヤマト運輸の宅急便のみでの発送になりますので、悪しからずご了承ください。

また、引き続き買い取りもさせて頂きます。買い取りを御希望の方は電話又はファックス、メールで下記まで一度ご連絡下さい。

電話番号 052-804-1605(留守番電話対応になります)
ファックス番号 052-805-5276
メールアドレス general@takaharabooks.com
ホームページはhttp://www.takaharabooks.com/で変更はございません。

平成28年9月 株式会社高原書店 代表取締役 髙原英世

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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