今冬から3万9800円(税別)で発売されるトヨタのコミュニケーションパートナー「キロボミニ」。トヨタが大々的に発表するクルマでない商品ってちょっと思い付かない。
そこに込められた思いや狙いはどこにあるのか、開発者で、MS製品企画部 新コンセプト企画室 主査の片岡史憲さんへ独占インタビューに応じていただきました。
ーー片岡さん、お久し振りです。
片岡「以前もお会いしてますよね。」
ーーはい、エスティマ・ハイブリッドの子供達のストーリーをつなぐプロジェクトでお会いさせていただいています。あのプロジェクトは今回のキロボミニにつながっているんでしょうか?
片岡「ええ、私の中ではつながっています。トヨタとしてはつながってないですが(笑)。あのときの経験がキロボミニに十分活かされていると思います。」
ーー最初に、こうしたコミュニケーションパートナーが必要、販売しようとと思ったのはなぜでしょう?
片岡「キロボが宇宙から帰ってきたとき、お年寄りが『あれが欲しいんだけど売ってくれないのか?』と詰め寄られたり、子供や女性が非常に興味を持ってくれたり、例えば私の義理の父がなくなった義理の母がああいうの欲しいなと言ったり、コミュニケーションの相手というのは必要とされていると感じましたね」
ーーしかし、それが『自動車メーカーのトヨタ』として必要なんでしょうか?
片岡「いま若者のクルマ離れとか言われている、その若者がキロボミニをきっかけにトヨタを知ってもらう。軽自動車の女性ユーザーがキロボのおかげでトヨタのクルマ購入のきっかけになる。逆にこれまでトヨタ車に乗っていただいてたお客様が免許を返納したけどキロボミニを手元に置いてもらう、といったことで新しい循環が生まれるのでは、販売店とのつながりができていいのではと思っています。」
ーー今回のキロボミニは、昨年のモーターショー出展時と比べ、変わっているところはあるのでしょうか?
片岡「販売するにあたり、落としたときに割れないとかの、品質を含め、中身は総替えです。また、量産化のためにVAIOさんの技術によって生産のことも考えて変えています。けれどコンセプトや、やりたかったことなどはまったく変わっていません。」
ーーでは、製品化に向けて、妥協した部分などはありますか?
片岡「ハードに関してはまったくありません。むしろよくしたくらいです。ソフトに関してはまだまだ今もやっているところですが、例えば、5歳児という前提ですが、ずーっと受け答えが馬鹿なままじゃ飽きちゃうので成長をどう見せればいいんだろうか、とか、自分の中で今でも考えているところです。本当は子供の成長は長い時間をかけて感じられるものだけどキロボミニのお客さんがそう思ってはくれないだろう。そんなに待てないんですよ。今日一日だけでも、あ、あれを覚えてくれた、となると次の日も何かちょっと話したい、また覚えてくれるんじゃないかな、とか思ってくれるはずです。」