── では、フロントから各パートを見ます。先代後期に準じた二段構造のランプとしましたが、これはそれほど重要な要素なんですか?
「いえ、これは単純な二段構造ではなく、上下で別モノと考えています。上はシュプールラインにつながるサイド面のスタート地点で、下はグリルの一部なんです。それぞれがまったく別の要素になっている」
── Vモーションの表現を標準車で2段、ハイウェイスターで3段と多層にしたのは? また、メッキ部分をボディ色にする案はなかった?
「当初はマーチなどと同じ1段だったのですが、ボディサイズに対してちょっと弱かった。ただ、あくまでも最下段がメインの表現です。色については、ボディカラーを挟んでしまうとグリルが煩雑になるし、そもそもVモーションはメッキによる表現が日産での定説なので」
── では、ボディサイドに移ります。見せ場の大きなキャラクターラインですが、本来張りのある広い面にあえて強い線を流した必然性は?
「まず今回のチャレンジング案では、当初からプレーンな面は作らないと決めていました。ショルダーの張り出した面をこのラインで一旦大きくエグって、もう一度下で膨らませる変化を見せたかった。もうひとつは、ミニバンの宿命であるスライドドアレールへの対応で、機能としてのレール部分を、今回はキャラクターの一部にしてしまおうと。実際には、直線のレールと曲線のラインをつなげるのは至難の業でしたげど(笑)」
── このラインは、少し上のシュプールラインとは逆方向で、いわば2本が泣き別れの流れになっていますね
「サイド面では、フロントがキャラクターラインより下のフェンダー部に張り出しを持たせているのに対し、リアへ向けては次第にラインの上の部分が張り出して来る。そうした、交差する彫刻美のような表現にすることで見せ場を作っているんです」
── なるほど。では続きは後編で。
(すぎもと たかよし)