内燃機関の可能性に挑む!日産が新型「QX50」に次世代エンジン搭載か?

一方、8月29日には早稲田大学の研究グループが「熱効率」を最大で60%と、約2倍に高めるエンジンの試作機を開発、燃焼実験に成功したと発表しました。

実用化できれば、燃費を2倍に伸ばせる可能性があるとしています。

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現在の自動車用エンジンは、燃料を燃やしたガスの力でピストンを動かしていますが、多くの熱が逃げてしまうため「熱効率」は30%~35%、最大でも40%と、燃料が持っているエネルギーの半分以下しか活用できておらず、理論上も50%を超えるのは難しいとされています。

そこで、開発品では複数の方向から音速に近い速さで燃料と空気を吹きこみ、シリンダの中心で衝突させることで、燃料を一点に集中させて燃焼させる仕組を採用。

これにより、燃焼する際の熱が外部に逃げ難くなるなど、より効率よくエネルギーを取り出すことができるそうで、研究室では排気量30ccの試作機を作り、燃焼試験を行ったところ、計算どおりの出力が得られたとしています。

エンジン周辺の温度もほとんど上がらず、熱が逃げていないことが確認できたとしており、研究室を率いる内藤教授のもとには自動車メーカー10社余りが視察に訪れ、技術協力の話を進めているそうです。

Infiniti-QX50_Concept

ただ、クルマは加速したり止まったりと動作が一定ではなく、エンジンの燃焼も一定ではないため、燃料を常に一点集中で燃やし続けられるかなど、技術的な課題もあり、実用化には少なくとも5~10年かかるとのこと。

このように、クルマの電動化が進む中、日産をはじめとする自動車メーカーや大学研究室では次世代のエンジン開発が本格化しているようで、内燃機関の可能性追求は今後も続くことになりそうです。

Avanti Yasunori・画像:日産自動車)

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【関連リンク】

早稲田大学 基幹理工学部
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この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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