e-POWERの発電機用エンジンは熱効率50%が見えてきた!? 同社が数年後に市販化を目指す最新技術を披露【ニッサン インテリジェント モビリティ テクノロジーツアー】

●日産自動車が開発中の先進技術を紹介。バッテリーEVとe-POWERなどを軸にCO2削減を図る

プレス向けの「ニッサン インテリジェント モビリティ テクノロジーツアー」では、日産先進技術開発センターで現在開発中の先進技術の数々が披露されました。いずれも数年後に出てくる先進技術としています。

日産 先端技術
20年以上、技術革新をリードしてきたとする日産自動車。

日産先進技術開発センターは2007年に設立され、従業員数は約2,000人。年々高まるソフトウェアに対応すべく、ソフトウェアトレーニングセンターが2017年に設立されています。

2005年に設定された日産車が関わる交通事故の死者数を実質ゼロにする目標「ゼロ・フェイタリティ」への取り組みでは、1995年当時と比べて、日本とアメリカ、イギリスでは2020年に1/4になる見込みとしています。さらに、運転支援技術の進化として1999年の前方支援技術から現在の「プロパイロット2.0」まで20年以上技術革新をリードするだけでなく、「プロパイロット」を幅広い車種に展開するなど、普及も推進しています。「プロパイロット」は現在8つのモデルに搭載され、累計45万台に達しているそう。

日産 先進技術
「プロパイロット」の開発コンセプト

日産の電動化戦略では、2050年までにCO2を90%削減する目標を2007年に掲げ、バッテリーEVとe-POWERによりCO2削減を図る戦略を進めています。リチウムイオンバッテリーの進化を図り、次世代に向けては全個体電池の開発を促進。また、バッテリーEVの熱効率は電源構成などもあり自動車メーカー単独だけでは向上が難しい現実もあります。

そこで、e-POWERの発電用エンジンに先進技術を搭載することで熱効率50%を目指し、10年後になるかもっと近い未来か分かりませんが、熱効率50%が見えてきたそう。

日産 先進技術
e-POWERの「熱効率50%が見えてきた」と表現

さらに、次世代e-POWERは知能化が図られ、発電機用エンジンの始動タイミングを実用燃費と静粛性を考慮して徹底的に最適化。機能学習、深層学習によりドライバーの運転特性に合わせて進化させるとしています。たとえば、自宅周辺では発電機用エンジンをオフにして静かに走行し、ロードノイズの大きな路面では発電機用エンジンを始動させたり、渋滞予測を活用したりしてエンジン制御を行うとしています。

日産自動車 先進技術
NTT西日本とV2Bのビジネス化実証を行っている

コネクティビティの面では、インフォメーションとエネルギーに大別し、前者は車内インフォテイメント、スマホなどを使ったパーソナルサービス、データサービスなど提供。後者は、エネルギーマネジメントとして、V2H(Vehicle to Home)、V2B(vehicle to building)などでEVの利点を最大化するとしています。

「ニッサン エナジーシェア」と銘打ち、V2Hの次のステップとしてV2Bの世界初商品化を目指した実証実験を開始しています。なお、電気自動車から電力網(グリッド)への電気の供給V2G(Vehicle to Grid)も実証実験が始まっています。V2Gは法規制や電力価格の制定など課題もありますが、将来的には太陽光など自然エネルギーでEVのリチウムイオンバッテリーに溜めた電力を電力網に戻す(売る)ことも可能になるかもしれません。

(文/写真 塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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