「キーンルック」は『意外性』と『緩さ』!? 新しいトヨタフェイスの正体について訊く

エスティマがビッグマイナーチェンジを行い、最新のトヨタフェイスに一新されました。

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次々に展開されるトヨタの新しい顔ですが、そもそもこの顔にはどんな意味が込められているのか、あらためてその真意を聞きました。

[語る人]
トヨタ自動車株式会社
トヨタ・コンパクトカー・カンパニー デザイン部長
CVカンパニー 主査 服部繁也 氏

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── まず、「キーンルック」や「アンダープライオリティ」といった考え方は、どんなきっかけから生まれたのでしょうか?

「トリガーは2回です。まず欧州戦略で、シェア5%と伸び悩む理由にトヨタ車としての共通項の欠如、ブランド力の弱さがありました。そこを何とかしたかった。もうひとつは先代プリウスでの取り組みです。空力のためにアッパーグリルはツルッとさせて空気を流しつつ、冷却はアンダーグリルに集中させた。この両者がいまの表現につながっています」

── マツダのイメージモデルのような、デザインのキーとなる造形やスケッチはありますか?

「いえ。トヨタはフルラインメーカーで、かつ世界展開も幅広いですから、そうした原型のような考えは縛りになってしまいます。今回のエスティマも結果的には薄い目に大きなグリルとなりましたが、当初には異なるアイデアもいろいろありました」

── しかし、そうは言ってもデザイン部内での共通認識は必要ですよね?

「そこは専務役員の福市得雄が、常に現場に対し語りかける機会をもっています。福市は5年前にデザイン本部長に就いて以降『意外性』をテーマに社外へメッセージを発信していますが、同時に社内トップ会議にも目を配ることで現場を喚起しています」

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── カローラやカムリ、SAIなど、キーンルックはそれぞれの表情や個性の表現が難しいのでは?

「キーンルックを最大限に表現するのはあくまでヴィッツなどグローバル・コアモデルに絞っていて、たとえばパッソやアルファードなど国内向けモデルではそこまでやらない。ただ、たとえば新しいプレミオ・アリオンでは、グリルは大きいけれど、フォグランプ周りにメッキを施して重心を下げ、それをこのクルマのアンダープライオリティとしている。そういう自由度は残しているということです」

この記事の著者

すぎもと たかよし 近影

すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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