今回、自動運転技術での進歩を披露したのが社内で「ジャック」のコードネームで呼ばれている車両。大型サルーン「A7」をベースにzFASと略称する最新鋭プロセッサーが内蔵されており、各センサーが得た情報をリアルタイムで分析して状況を正確に把握した上で、先の状況を予想し、次の動作を的確に導きだすとのこと。
具体的には、高速道路での合流では交通を阻害しないように加速か減速かを素早く判断するほか、トラックを追い越すときには横方向の車間距離を少し余分に開けたり、車線変更時にはウインカーを操作した後、少し幅寄せしてから実行するようになるなど、人が周囲のドライバーに意図を伝えるためのアクションを可能としています。また、ナビゲーションと連動して自動運転区間を長く取れるルート検索も新たに追加されたとのこと。
また、リリースによると、ネットワークシステムの拡充は自動運転技術に大きな相乗効果をもたらすことが示唆されています。「Car-to-X コミュニケーション」と称する通信では、道路標識をはじめとした情報はデジタル化されてクルマへ送られるほか、同じルートを走行中のクルマとの相互通信により危険な場所や事故をリアルタイムで察知できるようになるそうです。
冒頭で「自動運転にもう少し人間らしさがあれば……」と記しましたが、より人間の感覚に沿った自動運転の実現は近いのかもしれません。
あとは、「このトラックは追い越されると異様に車間距離を詰めてくる」とか、「このタクシーは交差点のすぐ近くでお客を降ろす」とか、車両ナンバーからそのクルマのドライバーの傾向もクルマ間で通信して自動運転に反映させてくれると、さらに頼もしいと思ってしまうのはワタクシだけではないはず。
(今 総一郎)