日産が三菱自動車の燃費不正解明を待たずに買収に動いた訳は?

振り返れば三菱自動車の燃費不正発覚の発端となったのは、当時合弁会社「NMKV」を中心に共同開発を行っていた日産からの指摘によるものでした。

日産は三菱自動車への損害賠償などについて、不正の全容が明らかになるまで静観するとしていましたが、その一方で4月の「デイズ」販売台数が前年同月比で約7割減となっています。

三菱自動車も今回は三菱グループの情勢や倫理上の観点から、救済が期待できない状況にあり、日産の要求を受け入れざるを得なかったと推測されます。

MITSUBISHI_eK_Wagon

ではなぜ、日産は燃費不正の全容が明らかになっていない現段階で三菱自動車の買収に動いたのでしょうか。

それが外資比率の高い企業特有の手法だとすれば、わかりやすいのかもしれません。

以前に日産がNMKVで開発した軽自動車の自社生産を匂わせたことから、これに三菱自動車が抵抗、ひと悶着有った件が買収の引き金になっているとすればどうでしょうか。

あくまで推測ですが、全ては事の発端から日産側のシナリオどおりに進んでおり、三菱自動車が記者会見で燃費不正の事実を認めた段階で、迅速かつ比較的安価に同社を傘下に収めることで、海外を含む他企業からの三菱自動車買収を未然に防ぐ狙いが有ったのかもしれません。

今回の資本業務提携で、日産、ルノー、三菱自動車を合わせた世界販売台数は950万台を超える規模となり、首位のトヨタやフォルクスワーゲンなどに迫ることになります。

それが目的だったとすれば4月20日以降、日産の三菱自動車買収戦略にマスコミを含め踊らされていたことにもなりかねず、真相がどうなのかが大いに気になるところです。

Avanti Yasunori

【関連記事】

三菱自動車 相川社長が燃費偽装で引責辞任か?国交省の対応は?
https://clicccar.com/2016/04/27/369037/

三菱自動車の新たな発表「1991年から続いた4重の不正」とは?
https://clicccar.com/2016/04/26/368979/

日産自動車、三菱自動車動車、NMKVの三社、軽自動車の協業を拡大、
https://clicccar.com/2015/10/25/334493/

VWがディーゼル車の燃費優先で環境対応を軽視か?
https://clicccar.com/2015/09/26/329216/

新型「ekワゴン」が三菱自動車動車経営再建の切り札になるこれだけの理由 !
https://clicccar.com/2013/06/21/223007/

この記事の著者

Avanti Yasunori 近影

Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
続きを見る
閉じる