走りの面では、リヤサスペンションのスプリングのバネ定数、前後ダンパーの減衰力を最適化するという定番メニューのほか、ボディ側の取付部の剛性向上や電動パワステの制御見直しにより、ハンドリングや乗り味をより上質するという狙いがされているとのこと。
4m未満の全長と2.5mを切るホイールベースながら落ち着いた乗り味になっているのは朗報で、改良前のややヒョコヒョコとした上屋の動きや、低速域の微小な振動なども抑えられている印象。
それでも装着されていたブリヂストンの「ポテンザRE050 A」は少し路面からの当たりもきつく感じるシーンもあり、ライバルと比べると上質さという面ではやや課題も感じさせました。
高速道路で速度を上げていくと、音や振動の面でノイズや揺れが高まりますが、法定速度くらいで流している分には大きな不満を抱かせません。
また、改良後は直列3気筒の1.2LのNA(MIVEC)エンジンのみとなっていますが、車両重量が900kgと軽いこともあって、街中ではスルスルと速度を乗せやすいのは美点でしょう。
一方、高速道路では加速時にCVTならではの加速感と音の高まりのズレを感じさせますが、急加速せずにジワジワと流れに乗りながらの合流や追い越し程度であれば目くじらを立てるほどではありません。
静的、動的ともに質感の向上が図られた新型ミラージュ。切れ味鋭い走りが印象的なスズキ・スイフト、最近はボディ剛性の向上に余念のないトヨタ勢(ヴィッツやアクア)、そしてディーゼルやハンドリングが強みに加えて、上質感を増して走りに高級感さえ抱かせるマツダ・デミオなどと比べると、ミラージュは個性や演出という意味で物足りなさも感じさせますが、肩肘張らずに「普通に乗れる」のがミラージュの良さであり、140万円を切る価格設定も考慮するとなかなかの仕上がりになっています。
(文/写真 塚田勝弘)
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