ターボラグをほぼ解消したアウディ「SQ7 TDI」の世界初採用装とは?

トピックスは、排気により駆動される2つのターボチャージャー(シーケンシャル過給)が運転状況に応じて作動する仕組みになっている点。

低・中負荷領域では、片方のターボチャージャーに排ガスが送られ、もうひとつのターボチャージャーは、高負荷領域においてのみ、追加される形で作動します。電動式コンプレッサー(EPC)は、とくにエンジン低回転域において2つのターボチャージャーの働きを補足することにより、レスポンスのよい加速性能を実現。

最高出力は435ps、最大トルクは900Nm/1000~3250rpmと、圧倒的といえる分厚いトルクで0-100km/hを4.8秒で加速し、最高速度は250km/h(電子リミッター作動)に到達しています。

新欧州ドライビングサイクル(NEDC)における、100km/h走行あたりの燃料消費量は7.4Lで、CO2排出量に換算すると194g/kmに相当します。

技術的な注目点は、電動式コンプレッサー(EPC)で、市販の乗用車では世界初の採用とのこと。EPCは発進および低負荷状態からの加速時に4.0 TDIエンジンを力強くサポートして、ターボラグのないレスポンスと吹き上がりを実現しているそうで、エア通路のなかで、インタークーラー下流のエンジンに近い位置に設置されています。

排ガスエネルギーを必要とせずに過給圧を発生できることから、どのような運転状況下でも利用することが可能で、排ガスを利用した従来型ターボチャージャーの弱点を克服。

Audi SQ7 TDI

最近のターボエンジンは、ラグを感じさせないものが多いですが、この新しいTDIエンジンにおいて、ターボラグは過去のものと自信を見せています。

EPCによりわずか0.25秒で、大トルクを発生するための過給エネルギーが提供され、小型の電気モーターによって駆動されるこのコンプレッサーは、最大70,000rpmの高速回転が可能で、ターボラグを解消。

ボディ側では「エレクトロメカニカル アクティブボディロールスタビライゼーション」の採用がトピックスで、3ステージのプラネタリーギアボックスを備えた小型電気モーターにより、スタビライザーが2分割されていて、不整地を走行すると、スタビライザーがアクティブに切り離され、乗り心地が改善されるというもの。

その一方で、スポーティに走らせる場合には、中空のスタビライザーが内部で連結され、捻じれに対する反発力を発揮するようになって、ロールを減らすことができます。

見どころ満載の「SQ7 TDI」ですが、2016年春から開始され、ドイツでのベース価格は89,900ユーロとアナウンスされています。

(塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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