マツダは、塗装品質を向上させる仮想現実(以下、MR)による車両塗装シュミレータを同社の塗装ラインに導入した模様です。
このようなMRを利用した車両塗装シュミレータの導入は日本初となるようです。これは電通国際情報サービス(以下、ISID)のサイトでの発表により明らかになりました。
新システム「車両塗装シミュレータ」は、塗膜が形成される過程をバーチャルな環境で精緻にシミュレーションすることを可能にします。
これにより塗膜構造の作り込みを高品質化と塗装工程の短期間化を実現し、より価値の高いカラーをスピーディに量産化することができるようになりました。同時に、塗装ラインの現場で培われてきた「塗りの匠」の技を伝承するためにも役立てている、ということです。
新システムは、キヤノン製のMRシステム「MREAL(エムリアル)」と旭エレクトロニクス製の塗装シミュレーションソフトウエアを組み合わせたもので、技能者の動きやロボット塗装プログラムのデータを、車両部品の3D設計データと連携させることで、実機による塗装評価に匹敵する精緻なシミュレーションを実現しています。
マツダを代表するボディカラーである「ソウルレッドプレミアムメタリック」のような特別な発色のカラーは、微細な塗膜構造を設計し、それを立体的なボディ曲面の上で実現するために、塗装ラインにおいてロボット塗装やマニュアル塗装を高精度に制御することが要求されます。
今回の新システムは、かねてからマツダの設計・開発・生産技術業務を支援してきたISIDの知見により、自動車のボディ塗装で日本初となるシステムの導入が実現された、ということです。
VR(Virtual Reality:仮想現実)はコンピュータグラフィックス(CG)等で作り出された仮想世界を、現実のように体験できる技術のこと。
最近よく目にするAR(Augmented Reality:拡張現実)やMR (Mixed Reality:複合現実)はその発展形とされ、ARは現実世界に仮想世界の情報を重ね合わせて表示する技術を、MRは現実世界と仮想世界の情報を融合して体験できる技術を指します。
マツダの”ソウルレッドプレミアムメタリック”に象徴されるような特別な車両塗装カラーが、今回の塗装シュミレータの導入で次々に登場することが期待できます。
(山内 博、画像出展:ISID)