先代シエンタは、片手でスライドできるセカンドシートや楽に格納できるサードシートなどの美点を数多く備えていて、これらを踏襲できているかがひとつのポイントでした。
新型シエンタでは、格納する操作の手間が増えていますが、そのぶんサードシートの見栄えもユーザーからの要望に応えて良くされています。
基本的には補助席レベルとして、あるいは格納しっぱなしという使い方が多いはずで、ここにあまり注力してしまうと車両価格やボディサイズなどに跳ね返り、シエンタという商品企画そのものの枠を超えてしまいます。
とくに、狭い場所での取り回しや駐車のしやすさは、このクラスの生命線ですからとても大切。
そうした意味も含めてサードシートは、短時間なら「意外と座れる」という域は出ないものの、妥当といえる作りかもしれません。
また、各人好みが異なるデザインやカラーリングは、限られた予算の中でも個性の演出という意味で巧みにされていますし、これだけ売れているワケですから世間的には概ね評価されているといっていいでしょう。
音・振動面やボディのしっかり感などの乗り心地も200万円以下の車両価格帯が主戦場と考えると、納得できるもの。
さらに、燃費もガソリン車でも2WDなら20.2km/Lと競争力があり、27.2km/Lのハイブリッドでなくても満足できそうです。
新型シエンタのヒットを見ていると(パッソセッテの不人気ぶりも含めて)、ホンダ・モビリオから一転? 人気モデルになったフリードを思い起こさせますが、まだ見ぬ新型フリードの逆襲までも楽しみにさせる、新型シエンタの人気と高い完成度といえそうです。
(文/写真 塚田勝弘)