今回試乗したのは箱根ターンパイクというフォーカスを試すには最適なステージ。
軽めのパワステはフリクションを感じさせないスムーズな感触で、もう少し手応えがあってもいいかも、と思うほど。
そうはいっても少し前のアウディのように軽すぎて、反応がもの足らないほどではなく、今回、電動パワステもダイレクトな設地感が得られるようにチューニングされているそうですからすぐに慣れてきます。
多様なコーナーが連続する箱根ターンパイクでは、たとえば荷重移動をそれほど意識しなくても、極端にいえばステアリング操作だけ難なくコーナーをクリアしていく感じでしょうか。
それはボディやサブフレームの剛性の見直しを含め、サスペンションジオメトリーの最適化、ブッシュ類の剛性を改善したというシャーシのバランスのよさはもちろん、トルクベクタリングの効果も見逃せません。
1秒間に100回の頻度で車両を監視しているという同システムは、アジリティ(俊敏性)とスタビリティの両立を実現しているだけでなく、ドライバーにほとんど感知させない自然な制御。
もちろん、腕自慢からは「なんだかもの足らない」という声も聞こえてきそうですが、冒頭でも紹介したように、おそらく長い距離を走るほど、つまりオーナーになればその良さが実感できるような気がします。
さらに、今回のテーマである乗り心地や音・振動面の改善は明らかで、今回のマイナーチェンジ前のフォーカスをベースとしたSUVのクーガと比較すると(比べるのは酷でしょうが)、洗練されたマナーも同セグメントでもトップクラスといえそう。
新型フォーカスに乗る少し前に、Cセグメントでは唯一のFRであるBMW1シリーズ(3気筒モデルの118i)に改めて乗る機会がありました。
両車、味わいは異なるものの、パワフルなエンジンも含めて、ハンドリングの面でもFFのフォーカスの方がよりスポーティに感じました。気になる方はぜひ一度試乗していただきたいモデルです。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)
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