こうして車両規制として国内外のルールを改正していくことは重要ですが、それだけでは自動運転車の社会的受容には足りないという意見もあります。
たしかに現在の交通事故は、その9割がヒューマンエラーに起因するもので、ドライバーのミスをカバーする自動運転技術は交通事故ゼロ社会に向けたテクノロジーとして有効といえます。
しかし、当面予想される自動運転車とマニュアル運転車の混合交通や、自動運転車と歩行者の関係など、交通教育の面から新たな情報提供や教育が必要になるとも考えられているといいます。
また、現状の自動運転は、運転者が(少なくとも)バックアップとして存在していることを前提にしているので、運転の責任はドライバーが担うといえますが、無人運転ともなるとそうはいきません。
もし無人運転も実現されるとなったら、事故や違反の責任所在など道路交通法の改正は必至。そして、すでに検討する委員会は立ち上がっていて、対応はスタートしているということです。
どこまで技術が進歩するのか見えない中で、国際基準や法改正といった難しいテーマに向けて、それでも関係する省庁は積極的に対応していることの感じられる基調講演となったのでした。
(撮影・文 山本晋也)
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