トラックにも自動運転の波!  高速道路で複数台の隊列走行の実験が進められているワケ

■複数台の無人トラックが通信しながら走る未来

なにかと話題となっているクルマの自動運転ですが、物流トラックなど商用車の分野でも自動運転化が検討されています。なかでも高速道路で複数台が自動で連なって走る隊列走行に注目が集まっており、様々な実証実験などが行われています。

●トラックドライバー不足の解消が目的

現在、実用化の検討が進んでいる背景には、ドライバー不足といったトラック業界が近年抱えている問題があります。

高齢化などにより将来的に人手が減る一方、インターネット販売などの普及で需要が増え続けるトラック輸送について、トラックを自動で走らせることで省人化を図り、今後も物流の基盤を支えていこうというのが狙いです。

加えて、長時間運転などが課せられるドライバーの負担を軽減するといった、“働き方”に関する課題を解決する目的もあります。

自動運転トラック
日本はもちろん欧米でも自動運転トラックの開発は進む

これについては、政府や日本自動車工業会といった業界団体なども実用化を後押ししています。

例えば、国土交通省や経済産業省では、2019年6月~2020年2月に新東名高速道路(浜松なさIC~長泉沼津IC)で、自動運転トラック隊列走行の公道における実証実験を実施するなど、実用化について積極的な取り組みを行っています。

やはりドライバー不足が社会問題となっている欧米でも、自動運転トラックの隊列走行は注目されていて、アメリカでは日本に先んじて一部商業運用も開始されています。

●先進技術により自動で車間を保つ

では、高速道路での隊列走行とはどんなものでしょうか?

これは、先進の安全技術と高度な通信技術を搭載した複数台のトラックが連なり、お互いに通信によりリアルタイムで情報などを共有しながら、自動で安全な車間を保ったり、車線を維持しながら走行する技術です。

自動運転トラック隊列走行の導入については、

1.全車にドライバーが乗るが、車線維持や通信による車間制御で後続車の運転をシステムがサポート
2.全車にドライバーが乗るが、自動車線変更など後続車の運転のほとんどをシステムが行う
3.全車を自動運転化、または先頭車両のみドライバーが運転し後続は無人の自動運転車両

といった3つのステップが考えられています。

これは、いきなり全車両を自動運転化することは、技術進歩や法律の整備などの問題で時間がかかるため。段階的に進めることで、安全性を確保しながら徐々に省人化やドライバーの負担軽減を図るためです。

ちなみに、前述の国土交通省と経済産業省が新東名で行った公道実験では、後続車無人システムを搭載した2〜3台のトラック(安全のためいつでも運転を変われるように全車にドライバーが乗車)を使った実験も行い、後続車全てを自動化するシステムの機能についての検証を行っています。

自動運転トラック
複数台のトラックが連なって走ることで多くのメリットも生まれる

また、自動運転トラックの隊列走行には、様々なメリットが期待されています。

例えば、各車両に組み込まれたシステムが細かく加減速を制御することで、登り坂などでの車速変化を少なくし全車両が安定した省エネ走行を実現するといったことです。また、隊列走行の後続車については、前の車両が空気抵抗を抑えてくれる(=後続車の空気抵抗が減る)ため、燃費の改善に繫がる利点も生まれます。

さらに、渋滞を緩和するメリットもあります。例えば、下り坂から登り坂への変化するような凸構造を持つ場所(サグ部)でも、システムが走行ルート先の道路状況などを事前に読み各車両の車速をコントロールすることで、安定した速度での走行が可能。複数台のトラック全てについて急激な車速の落ち込みをなくすことで、渋滞が起こりにくくなるのです。

●新東名や新名神の6車線化も検討

国土交通省では、こういった自動運転トラック隊列走行を普及させることを目指すとともに、その運用などの対策として、2019年に「高速道路における安全・安心基本計画」を発表しています。その中で、同省は高速道路の車線を増やすなどインフラの整備も検討していることを公表しました。

それによると、同省では自動運転のトラック隊列走行と共に、2台の車両を連結したダブル連結トラックも普及させることで、ドライバーの省人化を図ることを目指すとしています。そして、その具体的な対応として、新東名高速道路や新名神高速道路を6車線化することに言及。

これらにより、後続車有人隊列走行システム(前述の1)を2021年までに商業化、後続車無人隊列走行システム(前述の2)を2025年以降に商業化する目標も掲げています。

自動運転トラック
新東名の6車線化など、自動運転トラック隊列走行に対応したインフラ整備についても検討されている

これらが実現すれば、まずは東京・名古屋・大阪といった三大都市圏で実用化されることになります。

無人のトラックが高速道路を走るシーンは、最初はちょっとホラー的な光景に感じるかもしれません。でも、革新的な技術や新しい物事はなんでもそうです。慣れれば、意外に普通の日常に感じられることでしょう。

(文:平塚直樹/写真:ダイムラー、UDトラックス、NEDO *写真はすべてイメージです)

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