“勝者のメンタル”で今村が川畑の連続決勝進出をストップ【D1GP第4戦】

その点、この日のベスト8で川畑選手と戦った今村選手は、その限界をきっちり見きわめられるドライバーでした。

そこが今村選手の強さの理由でもあるのでしょう。マシンの性能的には現時点で川畑選手のGT-Rが上であることを認めたうえで、自分自身はけっしてミスをしない走りに徹したのです。ミスをしないながらもクルマの性能を100%に近いところで出せる走りに。

今村選手が川畑選手相手に活路を見いだせるとしたら、“勝ちきれないけれど、負けもしない”という走りをして、川畑選手のミスを待つことでした。

その狙いは功を奏し、最初の2本では勝負がつかず、再戦に入ります。その2本目に川畑選手のマシンがトラブルを起こしたのです。

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今村選手が最初の2本で川畑選手に負けたとしても、川畑選手の車両は次の対戦で壊れていたでしょう。しかし、この今村選手の戦いかたこそが、劣勢のなかでも最大限の成績を残す“勝者のメンタル”のなせる技なのです。

今回は、ちょっと渋いテーマですが、D1における心理戦をクローズアップしてみました。なお大会の優勝者は、決勝で今村選手を下した織戸学選手でした。

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※写真提供:サンプロス(撮影:鈴木紳平)

(まめ蔵)

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まめ蔵 近影

まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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