川畑選手はその前のベスト16では昨年のチャンピオン高橋選手を倒しています。
D1はメンタルが非常に大きく影響するモータースポーツですが、この勝負ではそれが如実に表れています。
高橋選手は審査コーナーに入るところから川畑選手の真後ろにつけて、見事な接近ドリフトを見せました。しかし、2コーナーで大きくアウトに流され、後れをとってしまったのです。ランキング2位の高橋選手が「川畑を止めたい!」という一心で限界を超えてしまった瞬間でした。
D1において、たとえば現在の川畑選手のように勢いに乗るドライバーは、往々にして相手のミスで勝ち上がることがあります。それは、相手が気負いすぎるのです。
これと同じようなことが昨年の最終戦でありました。高橋選手の優勝を止めてやろうと、思いきって攻めた上野選手が、やはり前半は見事な接近ドリフトを見せたのですが、その結果行き場を失ってドリフトがもどってしまったのです。追走には攻めの気持ちが必要ですが、その気持ちが強すぎるあまり、クルマやタイヤの限界を超えてしまうと、絶対に負けるのです。