SUPER GTタイ戦のGT300クラスで惜しくも優勝は逃したものの、後半の猛追撃でレギュラーチーム最速の1分34秒769を叩き出し2位で表彰台に登った#10 GAINER TANAX GT-R。
このレース後半で猛追撃を披露したのは、大注目のルーキー富田竜一郎選手。
富田選手のプロフィールは情報が少なく、「どんな人なの?」と検索をかけてみても、いきなり出てくるのはかつての所属チームDIJONレーシングの高森博士選手のネタ風味満載のブログ。過去の経歴などがよくわからないという方も多いはずでは?
富田選手は1988年10月28日生まれの現在26歳で、自動車運転免許を取得したのは21歳の頃。その時はレースをすることなど全く考えていなかったということです。
そんな彼が24歳の頃、いきなり降って沸いたようにGT-R プレステージカップという日産GT-Rのワンメイクレースに出場することになり、JAF国内競技ライセンスA級を取得します。
ここで彼の才能が芽を吹きます。GT-Rプレステージカップはそれまで公認レースではありませんでしたが、彼の出場した2013年からJAF公認レースとして開催されることとなり、そのレースで連戦連勝!公認レースとなっての初出場シーズンで初代チャンピオンという栄冠を手に入れます。
この頃からGT-Rでレースがしたい、とSUPER GTを目指すようになりました。
翌年の2014年には本格的にプロドライバーを目指すためにスーパーFJに参戦し、フォーミュラーの経験を積みます。その年の6月に開催された富士チャンピオンレースの中でスーパーFJ3位、プレステージカップ優勝とダブルエントリーでダブル表彰台という快挙も成し遂げています。
そのスーパーFJに参戦する直前、3月に岡山国際サーキットで行われたSUPER GT公式テストのルーキーテストに、まだ国際C級ライセンスになったばかりの状態で合格。あとは国際B級ライセンスを取得するだけでSUPER GTに出場できる権利を有したのです。
フォーミュラーなどで実績を上げて晴れて国際B級ライセンスを取得、DIJON RACINGのドライバーとしてSUPER GTの舞台に上がったのは8月末の鈴鹿1000km。初の自動車競技ライセンス取得から実に1年と数ヶ月という、史上最短記録でのSUPER GT出場を果たしたのです。
デビューから2戦目のタイ戦ではGT300クラスのファステストラップ、それも予選タイムよりも速いタイムでファステストラップを出すという快挙も見せました。
彼よりも若いSUPER GTドライバーは数多くいますが、そういった選手はレーシングカートから自動車競技を始めているのでキャリアは10年以上という選手が多い中、SUPER GTというステージに24歳からチャレンジして2年かからずにその目標に到達した富田選手。
2015シーズンはランキングトップのGAINERというチームで、千代勝正選手の海外遠征時の代打的スポット参戦ながら存在感を大きく見せてくれています。
そんな富田竜一郎選手の走りを次に見ることができるのは8月29、30日の「2015 AUTOBACS SUPER GT Round 5 44th International SUZUKA 1000km」。彼のすさまじい走りに期待します。
(写真:吉見幸夫(タイ )・松永和浩(その他)/文:松永和浩)