ただ両社はこれまでもハイブリッドシステム技術のライセンス供与や、マツダのメキシコ工場での小型車生産で業務提携している経緯があり、今回の提携拡大に於いても資本関係にまで及ばない事を示唆しています。
会見に出席したトヨタの豊田章男社長は「もっといいクルマづくり」を、マツダの小飼雅道社長は「カーライフで人生の輝きを提供」を目標に環境技術、先進安全技術などの分野で互いの強みを活かせるようにして行きたいと説明。
今後、両社で組織する検討委員会を立ち上げて具体的な業務提携の内容の合意を目指していくとしています。
振り返ればトヨタは2005年に富士重工業に出資・提携したことが後のワク・ドキを備えたトヨタ86、BRZの共同開発に繋がったのは周知の事実。
また2010年にはEVで先行する米テスラと提携、テスラに対して約45億円を出資、GMとの合弁工場をテスラに約38億円で売却して2年後に共同で「RAV4 EV」を開発、米国で発売しました。
こうした動きからはトヨタが「もっといいクルマづくり」に向け、謙虚に他社に学ぶと共に、その強大な資本と開発力を活かして、自社の弱みを補完しようとしている姿が垣間見えます。
さらに2011年にはトヨタが次世代環境車・環境技術における中長期的な協力関係の構築に向けてBMWと提携。
この両社のタッグはその後、2013年に日産とダイムラー・フォード、ホンダとGMが同様にタッグを組むまでに発展しました。
その背景に存在するのは、近々欧米で強化される環境規制への対応で膨大な開発費を要するため、一社で全て賄うのではなくブランドを超えて協力関係を築くことで負担増を分担しようとする姿。企業にとって膨大なリスクを伴うだけに回避するには必要不可欠なものといえます。
今回のトヨタとマツダの包括提携においても同様の事情が存在していると予想され、トヨタは自社の風土や技術陣の気風も勘案して提携拡大に踏み切ったものと思われます。
今後両社の提携が生み出す「化学反応」でいっそうの「ワク・ドキ」を感じるクルマの登場が期待できそうです。
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