トヨタが無償提供する燃料電池車の「特許実施権」とは?

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FCV基幹技術の特許実施権無償提供を2020年末までとしたトヨタの狙いについて、燃料電池自動車が市場に普及する2020年末までの間はトヨタ方式の燃料電池自動車技術を世界に広めてデファクト・スタンダード化を図り、FCVが市場で普及する2020年末以降は、トヨタ方式のFCV関連特許を武器にFCV市場をリードしようとしているのではないか、という見方をするメーカーが出てくるのではないかと考えられます。

しかし、たとえ今回の特許実施権許諾にこのような側面があるとしても、巨額の開発コストを負担して自前でFCV技術を開発し、しかもトヨタの特許網をかいくぐって自社方式を確立する困難さを考えると、トヨタのFCVに関する特許実施件許諾は、大きな魅力があることには間違いありません。

トヨタ内部では今回のFCVの特許実施権無償提供について、ほとんどの役員が反対を表明したのを、豊田章男社長が鶴のひとこえで、FCVの普及のためには必要だと押し切った、と一般紙でも報道されたように自動車業界を超えて、社会的な関心を呼んでいます。

現在のところ、トヨタの特許実施権無償提供について、他のメーカーの首脳には歓迎する意見が多いように見えますが、FCVは次世代自動車の本命とも見られているだけに、FCV関連特許をめぐる今後の動向が注目されます。

※記事中の画像は、トヨタ自動車からの出典です。

(山内 博)