東京オートサロンは、その全身をエキサイティングカーショーとして1983年にスタート。当時は、市販自動車のエンジンパワーやサスペンションなどを改造することで走行性能をアップさせる、いわゆるチューニングカーを披露することで楽しむと同時に市民権を得ようと言うものでした。そのころ改造車は一般には暴走族が乗るものというイメージも大きかったのです。
1987年からは東京オートサロンと改称し、規模を拡大して行きました。
その間の大きな流れは様々なクルマのカスタマイズが現れて行った多様化です。それはジャンルが増えていったというだけでなく、さまざまな広がりを見せました。
エキサイティングカーショーのころはとても自動車メーカーが出展するどころか、見に行くのさえお忍びで行くくらいの雰囲気があったはずです。
しかし、その後、日産スカイラインGT-Rの発表会が行われたり、発表前のトヨタbBがカスタマイズ車両とともに登場したりだんだんと自動車メーカーもその場を「利用」するようになってきたのです。
その傾向は現在でも続いており、ビジネスユースでのオートサロン来場者が増えたため、金曜日の増加につながったと思われます。
個人的な感想では、自動車に関する事象を生業とする多くの人々が、ユーザーニーズやカスタマイズの傾向などを確かめに来たり、あるいはなんとなくオートサロンを見ておかないと不安といったニーズからの来場者が増えていると予想します。
自動車を生産して世界中に走らせている日本ですが、自動車が文化として定着しているとはまだまだ言い難い状況です。しかし、メーカーがクルマを安全に輸送するためのものだけでなく、楽しむことに対し理解が深まって行くのがオートサロンから見て取れます。近い将来、欧米のようにクルマを楽しむ文化が育まれるに違いない、と言えるでしょう。
(clicccar編集長 小林和久)