都内で行われた試乗会なので、Fタイプ・クーペの実力の一端にほんの少し触れたかどうかという感じですが、いくらスポーツカーずっと全開ではないですから、少しは参考になるかもしれません。
最初に乗ったのは、340ps/6500rpm、450Nm/3500rpmを発揮するV6 3.0Lスーパーチャージャー搭載の「F-TYPE」で、「可変」ではない「普通の」スポーツサスペンションを装着し、LSDは未装着というエントリーグレード。
エンジンスターターを押すと、「ブォン」と目覚める演出は最近の流行とか。でも、早朝深夜の閑静な高級住宅街を出入りするには「場違い感」も拭えません。
場所が場所、速度が速度だけに、LSD有無の違いなんかさっぱり分かりませんでしたが、首都高速で少し飛ばすくらいであれば、パワー的にはまったく十分。
「エコ」モードでもアクセルを最後まで踏み込むシーンはなく、首都高速の流れなら、たとえばレインボーブリッジの上り坂でも「ダイナミック」にするまでもなくスイスイとほかのクルマをパスしていきます。
コンバーチブルと乗り比べると、ボディの剛性感も明確で、こんなに硬いボディに感じたのは初めてかもと思ったほど。アルミボディですが、大げさに言うと出口のない金属の中に閉じ込められたような錯覚さえ覚えます。
また、5.0L V8モデルの「F-TYPE R Coupe」と比べると鼻先の軽さは明らかで、公道を走るならこっちの方が扱いやすくて速いかも、というのは都内の試乗で感じたことでした。
ただし、「F-TYPE S」以上に用意される「アダプティブ ダイナミクス付スポーツサスペンション」や「LSD」、「F-TYPE R Coupe」にあるトルクベクタリング機能付の「電子制御式アクティブ・ディファレンシャル」はありませんから、ワインディングやサーキットなどの走行を重視するなら、「F-TYPE S」以上が選択肢になるかもしれません。
逆にいえば、Fタイプ・クーペのスタイリングはもちろん、公道ならまったく不足のない速さを823万円という価格で得られるのは、手に届く人たちにとってはお値打ちかもしれません。
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https://clicccar.com/2014/06/21/259362/
(塚田勝弘)