アルパインと富士通テンが共同開発するわけは?

アルパインと富士通テンが車載プラットフォームの共同開発で基本合意したという発表が両社から行われました。

アルパインといえば、ここ数年はナビの車種専用設計+大画面化を推し進め「BIG X」ブランドで躍進。

ex1000-ve-go_image03_2560一方の富士通テンは、AVNという登録商標をもつように、いまでは当たり前となったカーナビとAV(オーディオヴィジュアル)機能を一体化したAVナビゲーションの先駆けであり、スマホ(携帯電話)連携も早い段階から採り入れてきました。

06_ AVN-ZX03i_FORESTER_LSA今回、同社が基本合意した共同開発は「製品競争力の向上を目的」として、両社製品に共通する基本的なソフトウェア部分を中心に行い、製品化は各社が独自に行うというもの。

地図データやプローブ情報の提供や共有といったものは一部ありましたが、カーナビメーカー同士がここまで手を組むのはかつてなかったといえます。

国内自動車メーカー8社と日本自動車研究会の「AICE」設立によるエンジンの共同研究までは大規模ではありませんが、カーナビ業界も車載インフォテインメントの普及により、従来にはなかったGoogleやAppleなどの競争相手も出現し、新たな局面に移っています。

両社共同のリリースには「スマートフォンに代表されるコンシューマーエレクトロニクス製品と車載機器との機能複合へのニーズが高まり、車載機器が担う役割は拡大しています。これらのニーズに対応した車載プラットフォームの開発に取り組みます」とあり、ほかのカーナビメーカーはもちろん、GoogleやAppleなどに対抗しうる次世代の車載インフォテインメントを世に送り出すのが狙いなのは間違いありません。

誤解のないようにいうと、GoogleやAppleなどができていて、日本のナビメーカーが太刀打ちできない性能や機能は、すでに現時点でほとんどないといえますし、ナビという機能に限定していえば間違いなく世界トップの精度、性能を有しています。

しかし、ガラパゴス化して世界で戦えなくなった携帯電話やスマホの先例を考えると、ユーザーニーズに応えながら、アイディアや予想を超えるスピード感でユーザーを飽きさせないことも欠かせないのかもしれません。

(塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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