6月11日から始まる今年のル・マン24時間レースは、「WEC(FIA世界耐久選手権)」の第3戦ではありますが、歴史、知名度ともに別格のレースといえる存在。WECの第1戦と第2戦はトヨタが連勝しましたが、ル・マンの行方はどうなるかいまから楽しみにしている方も多いでしょう。
日産も電動駆動レーシングカーであり、昨年の東京モーターショーでも披露された「NISSAN ZEOD RC(Zero Emissions On Demand Racing Car)」で参戦。革新的な技術を披露するマシンに与えられる特別エントリー枠、「ガレージ56」の適用を受けての出場になります。
もちろん、電力だけで24時間走り続けることは不可能で、充電していたらレースにはなりませんから、「サルテサーキットの13.6kmのコースを、史上初めて電力だけで1周走り切ることを目指しており、外観では静音のままミュルザンヌ・ストレートを駆け抜けることになります」とのこと。
また、ユニークなZEODコンポーネンツの画像ともに、先日行われた「FIAクラッシュテスト」の様子を収めた動画も公開。このクラッシュテストは、ル・マンに参戦するすべてのル・マンプロトタイプに義務づけられるもの。
それにしても、コンピューター支援設計(CAD)によりマシンを構成するナットやボルトといった部品の詳細までを表現した画像を公開するのはなぜでしょうか。
ニスモのグローバルヘッドオブブランド、マーケティング&セールス、ダレン・コックス氏は、「ファンのみなさんに裏舞台をお見せして、『NISSAN ZEOD RC』を生み出した独自の技術を知っていただきたいと思います」と語っています。
量産EVで第一人者を自認する日産では、レース本番はもちろん、それまでの準備を通じて知見を高めることで「走る実験室」としてEV関連の技術を高めていく狙いがあるのかもしれません。
さらに、2015年にはGT-Rの名を冠したマシンでFIA世界選手権にワークスチームとして参戦し、ル・マンの頂点を目指すとしていますから注目が集まっています。
(塚田勝弘)