SUVとクーペをクロスさせたイメージのボルボXC60。従来はフォードグループで共同開発された直列4気筒ターボ「T5エンジン」を搭載し、240ps/320Nm、JC08モード燃費は11.1km/Lでした。
しかし、今年からS60/V60とともに、XC60も自社開発の直列4気筒ターボの「T5エンジン」に切り替わり、5ps/30Nmアップの245ps/350Nmを得ています。燃費も23%向上となる13.6km/Lに改善。XC60を選択肢に入れている人にとっては、燃費改善によってボルボ初の「エコカー減税100%」になったのは朗報でしょう。
少しややこしいですが、XC60の「T6」系は従来どおり304ps/440Nmの直列6気筒ターボで、従来どおりラインナップされています。
さて、今回新しくなった「T5エンジン」は、「Drive-E」とボルボが呼ぶ新世代パワートレーンであり、トランスミッションも従来の6速ATからアイシンAW製の8速ATに変更されています。
試乗した「XC60 T5 SE」は、「T5」系としては559万円の中間グレードで、シティ・セーフティ」や前席の電動&シートヒーター、パドルシフト、パークアシスト・リヤ、18インチアルミホイールなどを標準装備。
動力性能が向上しているうえに、従来の「T5エンジン」の1800-5000rpmから1500-4800rpmへと最大トルクの発生回転数が少し低くなったこともあり(最高出力は5500rpmのまま)、こんなにトルクがあったかな? と思わせるほど力強い発進と加速が可能で、吹け上がりもなかなか軽やか。
また、8速ATは超スムーズでパドルシフトも備わりますから、状況に応じた変速も自由自在で、普通に走っている分にはDレンジに入れっぱなしでもかったるさとは無縁ですからイージードライブも享受できます。
追加されたアイドリングストップは、7km/h以下になるとエンジンが停止。再始動時の音と振動は、「車格」を考えると少し高めではありますが、瞬時に発進できるので再始動までの「間」を意識させられることはありません。
また、省燃費モードの「ECO+モード」には、エンジンのレスポンスやアイドリングストップの制御などを行うだけでなく、65〜140km/hで走行中に惰性で走るコースティングモードも用意されていますが、いわれないと気がつかないほど制御は自然です。
XC60の泣き所はカタログ燃費でしたが、パワフルになりながらBMW X3にほぼ並んだのも商品力アップにつながるのは間違いありません。
(塚田勝弘)