最近のヴォクシー/ノアなどのミニバン、タントやN BOX+などの福祉車両は、福祉車両として使える機能を有しながらも、普段使いにも対応する設計が採られるようになってきました。
普通のクルマと福祉車両は同じクルマでありながら、求められる機能が異なり、両立するのが難しかったのも一因だと思いますが、多くの人にとって「人ごと」ということが、こうした両立できるクルマの出現を遅らせてきたという面も否定できないでしょう。
2020年の東京オリンピックで海外からのお客さんに笑われないように、バリアフリー・カーと交通を含む公共施設のバリアフリー化も急がれますが、日本とは比較にならないほどのクルマ社会であるアメリカで「Kenguru(カンガルーと発音)」というシティコミュータEVが話題になっています。
最大で60マイル(約96キロ)の範囲内で行動する人向けに、車椅子に乗った乗員が1人乗車できるEVで、車椅子ごとリヤゲートから乗り込みます。
リヤアスクルに配置された2つのモーターにより最高速は25マイル前後(時速約40キロ前後)で、一充電あたりの走行距離は約70キロ強。
オートバイのようなバータイプのハンドルを使って操作し、さらにジョイスティック制御も開発中です。
元々ハンガリーで開発されたアイディアと車両で、テキサス州の弁護士がアメリカに持ってきたそうで、ハンガリーのメーカーが資金難になったためテキサス州で少量生産していたそうです。
アメリカでは、20,000ドル〜25,000ドルで販売される見込みですが、EVや障がい者向けなどの購入補助制度があれば大幅に低減できるとのこと。以前日本でも、ホンダから同様な発想で車椅子ごと乗り込んで運転するものもありましたが、法規制クリアの問題がひとつのネックになっていることもあったと聞きます。日本でもこうしたEVが増えれば、モビリティの真の自由化が進むような気もします。
(塚田勝弘)