場所はロサンゼルス。いわゆるリトルトーキョーのあたりです。白人と黒人の青年が風刺を目的としたいたずらを敢行します。
まず、白人の青年がクルマのカギを壊しそうと試みます。白昼堂々、ひとどおりの多い道路でです。盗難警報機が作動してアラームが鳴り響いていますが、通行人はほとんど気にとめることもしません。けっきょくなにごとも起こらないまま終了。
次は黒人の青年が、同じ場所でまったく同じことをします。さて、なにが起こるでしょうか?
うーん。もちろん人種による対応のちがいも問題ですが、もうひとつ、前半の白人の青年のとき、クルマに悪さをしているっぽいひとがいるっていうのに、誰も対応しないっていうところに人間の心理のむずかしさを感じますね。本当なら、後半の黒人の青年がやっていたときのように、すぐに通報したり、止めたりするべきだと思うんです。でもそれをやらないのは、たぶん「ひょっとしたら勘違いかもしれない」というような意識があるから、それが黒人の青年のときよりも強いからだと思うんですよね。なにかしら言い訳にできる要素をみつけて、他人のためにひと手間かけることから逃げてるんじゃないかと思うんです。自分には危害がないときに他人のために行動するというのはあんがいハードルの高い行為なのかもしれません。
(まめ蔵)