その差4倍以上! 同じクルマで自動車税がこんなに違う「営自格差」とは?

総務省による『自動車関係税制のあり方に関する検討会』の報告書(案)において、軽自動車税の増税についてかなり突っ込んだ意思がみられると話題になっていますが、その報告書(案)では自動車税の「営自格差」についても触れられています。

「営自格差」とは営業用と自家用の自動車税にかなりの差があることを示す言葉。軽自動車税が自動車税に対して大幅に低額というのは、知られているところですが、じつは営自格差もかなり大きいのです。

報告書(案)では以下のように記されています。

自動車税における営業用自動車と自家用自動車の関係(営自格差)については、営業用自動車を運行している民間路線バス等の公共交通機関の果たしている役割を一定程度考慮に入れる必要はあるが、財産税としての性格や、道路損傷負担金的性格も踏まえる必要がある。また、環境損傷負担金としての性格が強まりつつあることも考慮すると、現在の約3倍の格差は合理性を欠いていると考えられる。そのため、営業用自動車の税率を引き上げて、自家用車との税率格差を是正することを検討すべきである

ここでいう営業用自動車とは乗用と貨物の違いではありません。乗用車における「営自格差」の大きさを問題にしているのです。具体的にはタクシーや運転代行サービスで使うクルマの自動車税と自家用車に課せられる自動車税の差が約3倍となっているという話なのです。

では、実際の税額を確認してみましょう。

まず軽自動車の場合。

乗用車:7200円(自家用)/5500円(営業用)nw1310011H

つづいて登録車の場合

1.0リットル超~1.5リットル以下の乗用車:34500円(自家用)/8500円(営業用)

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1.5リットル超~2.0リットル以下の乗用車:39500円(自家用)/9500円(営業用)

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軽自動車の場合は営業用と自家用の差は、30%程度となっていますが、登録車では4倍以上の格差になっているのです。報告書にもあるように、公共交通機関としての役割を考えれば営業用を一定レベル優遇することに正当性はあっても、現在の4倍以上という格差はあまりにも自家用ユーザーの負担が大きすぎ、バランスを欠いています。

仮に軽自動車における30%という差を適正とすると、登録車の乗用車では、1.5〜2.0リットルクラスで12500円程度が適正な自動車税額になるといえそうですし、そうすることで軽自動車との格差感も解消すると考えられます。

ユーザーとしては営業用の自動車税を基準に見直すことを期待したいものです。

※画像はいずれもイメージ例です

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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