スイス・マッターホルン山麓にある高級リゾート地として知られる「ツェルマット」では市街地を走れるのはEVと観光用の馬車のみとなっているのはご存知のとおり。
夏は登山、冬はスキーなどのウィンタースポーツを楽しむ人々で賑わっています。
ツェルマット市街地は自治体の条例によりEVしか走れない決まりになっており、近代技術のEVと前時代的な馬車が混在する様子は一種独特な光景。
EVに対する世界の関心が盛り上がって来たのがここ数年なのに対し、ツェルマットにEVが導入されたのは20年以上も前に遡ります。
現在、ツェルマットを走るEVは路線バス6台を含む計500台となっているようで、それもタクシーや業務用に限られており、基本的に個人でのEV所有は出来ない模様。
住民がガソリン車を持つことは制限されていないものの、市街地への乗り入れは禁じられており、市街地の端にある公共駐車場に停めることになるそうです。
ましてや外来の観光バスや観光客の自家用車に至ってはツェルマット市街地から数キロ離れた駐車場までしか乗り入れることが出来ない状況とか。
国際的な観光地の「自然環境保護」を目的とした、ある意味「特殊な交通規制」とも言えますが、日本でもこうした環境下でのEV活用は以前にご紹介したとおり、瀬戸内海に浮かぶ「豊島」で季節イベントを機会に始まっています。
また島根県大田市では騒音や排ガス対策の為に車や路線バスの乗り入れが禁止されている世界遺産「石見銀山遺跡」内の移動手段として、EVの導入を模索している模様。
「豊島」でのEV活用手法と同様に、レトロな馬車形のEVを使った試乗会を実施するなど、新たな観光の目玉とすべく計画が進んでいるようです。
現在、石見銀山遺跡を訪れる観光客はエリア内を徒歩で移動しなければならず、高齢者や障害者への配慮が課題となっており、市が対策を検討していたところへ街作りや産業振興などで協力する島根大学が、試作EVの活用を提案したもの。
外観はクラシックながら、イン・ホイールモーター方式で軽量化を図り、高出力なリチウムイオンバッテリーを搭載してトルクを確保するなど先進技術を導入。
最高速度は60km/hで1回の充電(4hr)で約50km走行可能と言います。
日本のみならず、世界的にも航続距離の短さから普及が足踏みするEVですが、こうした自然環境を重視した観光地や居住地区、各種イベントなどにフォーカスしたEV活用方法は新たな市場を生み出すきっかけとなるかもしれません。
■島根県 石見銀山世界遺産センター Webサイト
http://ginzan.city.ohda.lg.jp/
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