トヨタ新ハイブリッドスポーツのメカニズムが判明

2013年9月10日に開幕するフランクフルトショーにおいて、トヨタが出展するというヤリス・レーシングハイブリッドのメカニズムについての続報が届きました。

トヨタのWECマシン「TS030ハイブリッド」由来のテクノロジーを採用したヤリス(日本名:ヴィッツ)ベースの、このコンセプトカー、システム最高出力は400馬力以上となっていましたが、より正確にいえば420馬力なのだそうです。

その内訳は、フロントを駆動するGRE(グローバル・レース・エンジン)が300馬力、リヤを駆動するツインモーターが120馬力となっています。

GREとは、FIAが進めているモータースポーツ用の1.6リッター直噴ターボエンジンの規格ですが、TMG(トヨタ・モータースポーツ Gmbh)が開発したエンジンは、もちろんそのレギュレーションに則っています。

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このエンジンに6速シーケンシャルミッションを組み合わせ、また発電用に60馬力級のモーターを搭載しています。このモーターは市販車のヤリスハイブリッドやアクアに使われているものだといいます。

そして、リヤは同じ60馬力級のモーターを左右独立して搭載しています。トヨタのハイブリッドというと動力分割機構を使ったシリーズ・パラレルハイブリッドが主流ですが、このコンセプトカーでは、シンプルなパラレルハイブリッドとなっているのです。

さらに、モーターのレスポンスを活かして、フロントには進化したトラクションコントロール機能をプラス。リヤでは、左右のトルク移動を行ない、ヨーコントロールをする仕様になっています。 

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蓄電装置は、TS030ハイブリッドゆずりのスーパーキャパシタとして、レスポンスよく電気を出し入れできるのも、そうしたトラクションやヨーのコントロールに効いているほか、モーター駆動による瞬発力も期待できるものといえます。 

400馬力オーバーのヴィッツと聞くと、とんでもないじゃじゃ馬に思えますが、今回発表されたパワートレインの構成からすると、モーターのヨーコントロールによる未来的な走りが想像できる一台といえそうです。

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(山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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