電気自動車「日産リーフ」でラリーチャレンジ! 完走できるのか?

全日本ラリーでは最大級の観客動員数を誇る『モントレー2013 in 群馬』(以下モントレー)が、7月27~28日、群馬県渋川市を中心に開催されました。このモントレーに全日本ラリーでは初めて、純粋な電気自動車として日産リーフが参戦したのです。

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 EVオンリーのレースなどには参戦している日産リーフですが、ガソリン車と覇を競うというイメージがほとんどゼロに等しいのではないでしょうか。色々な意味でかなりチャレンジングなことをしたのは自動車評論家の国沢光宏さん。

 マシンも気になるところですが、充電はどうするのでしょうか?

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今回の参戦のためにチームはなんと急速充電器を装備した電源車を用意。ディーゼルエンジンで発電して急速充電器より充電するのですが、EVは二酸化炭素を排出しない自動車とされますが、これでは発電機が二酸化炭素を排出してしまいます。今回はこの排出量などの環境データも今回の参戦データとして整理して割り出すそうです。

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充電もそうですが、チャレンジングな要素は車両製作にも及びます。そもそもリーフに競技用のパーツなどは皆無。足回りや操作系、ブレーキやロールバーなどは全てワンオフ製作。サイドブレーキは足踏み式から油圧ラインを変更するという大改修のもとハンドブレーキに変えられています。

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そもそも電気自動車が全日本ラリーに参加して競技になるのか? 充電をサービスメンテの時間以外に車両保管時やスペシャルステージ(以下SS)の出走待ち時間に可能にする、という特例以外は他の参加者と同じルールで進行していった今回のラリー。初参戦として全てが全くの未知数のため、全日本ラリーのポイントが付与されるJN-1クラスではなく、ポイント付与の無いイノベーションクラスでの参戦。「(完走は)ちょっと厳しいんじゃない?」という周囲の予想を裏切り、見事に完走!

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 ただし、全てのSSをフルアタックすると電池が切れてしまう。かといってゆっくり走っていては競技にならない。その配分には相当に頭を使うとのこと。電池の持ちはタイヤでもはっきりと差が出るようで、DAY1ではヨコハマのエコタイヤ「ブルーアース」を、DAY2では競技用のSタイヤを履いてデーター収集していた模様で、このタイヤの違いで少なくとも十パーセント以上、電池の持ちに差が出ているということでした。

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リーフは実際のところ速いのか?遅いのか?気になるところです。国沢さん曰く「フルアタックの80%程度で走った」という群馬サイクルスポーツセンターで行われたSS12は45秒1というタイム。これはJN-1クラスでは2位に相当。ちなみにRX-8よりも速い。

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さらに、「下りはとんでもなく速い」そうです。構成パーツでもかなりの重量を占めるリチウム電池が床下に搭載されているリーフは見た目以上に重心が低いので、コーナリングスピードはかなり高いようです。

「電気自動車だけで仲良しこよしの競技で遊んでいてもEVの発展には繫がらない。ガソリン車と混ざって凌ぎを削ってこそ電気自動車の新しい発想や技術が生まれてくる」という主張の国沢さん。今年は『第49回大阪電通大チャリティラリー 丹後半島ラリー2013』と『新城ラリー2013』の2戦に参戦するとのこと。

最後にひとつ、どうしても気になることを国沢さんに質問してみました。

「競技車に改造した場合、EV補助金ってどうなるんですか?」

国沢さん曰く「ラリー車は公道走行可能でないといけないから、ナンバーを切らなくていいので補助金は有効」だそうです。

音もなく走り去るラリー車は、異次元の感覚。これから参戦予定の2戦は見ておくべきだと思います。

(写真・文:北森涼介)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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