シトロエンDSといえば、前衛的なスタイルにハイドロニューマチックサスペンションを搭載した同社の顔といえる存在。新型ゴルフのプレス発表会において、VWのデザインを統括する奇才ワルター・デ・シルバ氏も「最も影響を受けたクルマを一台教えてください」という問いに対してシトロエンDS19を挙げています。
現在のDSラインは、通常のCラインの上級&スポーティラインという位置付けで、DS3、DS4、DS5をラインナップ。どのモデルも他にはない個性的な内・外装を楽しめるのが魅力で、とくにDS5のダイナミックかつ独創のエクステリアは、アンチドイツ派でなくても思わず振り向いてしまうオーラを放っています。
さて、6月18日にすでに発表されていましたが、7月5日から日本で発売されたのが最新のDSラインである「DS3 CABRIO Sport Chic(DS3カブリオ・スポーツシック)」です。
小粋でスポーティな3ドアコンパクトハッチであるDS3をオープン化モデルで、電動ソフトトップの開閉時間は16秒。本国でのテストデータでは120km/hでも開閉できるそうですから、信号待ちで操作して信号が変わってしまっても開閉可能。
電動ソフトトップは、リヤウインドウが畳まれるフルオープンとルーフのみが開くセミオープンをコンソールのスイッチひとつで操作できます。
ところで、オープン化で気になるのはボディ剛性の低下ですが、ルーフに高剛性の素材を採用し、ジョイントアッセンブリーの剛性を確保。さらにクローズ時は、クーペモデルのDS3と同等の遮音性を確保しています。
ルーフのキャンバス地も凝っていて、アクリル、ゴム、ポリエステルの3層構造にアクリル織りの裏地を加えたもので、受注生産でジャガード織りの「DSモノグラム」はドイツから、「ブルー アンフィニ」、「ブラック」はアメリカから調達されています。
一方、ルーフオープン時は、最前部にあるディフレクターネットが立ち上がり、気流を整えながら車内への風の巻き込みを防止。さらに、振動や風切り音を低減する効果も発揮します。なお、走行状況に応じてこのネットは手動で格納することも可能。
そして、DS3の特徴である2トーンのボディカラーやフローティングルーフ、エクステリアのアイポイントである「シャークフィンデザイン」と呼ぶBピラーなどは健在で、リヤコンビランプは、45個のLEDを使用した3Dタイプに変わっています。
シートはホールド性の高いバケットで、ブルーかブラックのレザーが標準。ルーフコンソールにルーフの電動開閉スイッチやLEDルームランプ、マップランプ、アンビエンスランプを配置しています。レザーシートとカラーコーディネイトされたダッシュボードもかなり個性的で、「ブルー アンフィニ」、「グリ ムーンダスト」、「カーボンテック」の3タイプが設定されています。
気になる積載性は、フルオープン時でも5人定員の5シーターオープンでありながら230L(VDA方式)の容量を確保するなど、一定の実用性を備えています。
エンジンはDS3の「Sport Chic」系と同じ、1.6Lの直列4気筒DOHCツインスクロールターボで156psを発揮。
「DS3 CABRIO Sport Chic」のみのモノグレードで価格は311万円。トランスミッションは6MTのみでやや乗り手を選びますが、全長4m未満のコンパクトなボディサイズなのにいざとなれば大人4人が乗れる貴重なオープンエアモデルの登場です。
(塚田勝弘)