BMWが量産車で超軽量「炭素繊維」を採用 ! 日本でも普及促進へ !

燃費が問われる時代になったことで「軽量化」で効果代の大きい炭素繊維強化樹脂、すなわちカーボンファイバー・プラスチック 「CFRP」(Carbon Fiber Reinforced Plastic)を使ったクルマ(BMW)や航空機(B787)が話題になっています。

BMW i3 (出展 SGL)

日本では高級スーパースポーツカー「レクサスLFA」のボディ骨格にふんだんに取り入れられて僅か193kgと超軽量なメインボディを実現した事は以前にご紹介したとおりですが、今回北米で発表された新型カローラにも同目的で部分的に採用されているとの情報も。 

カーボンファイバーはアクリル繊維を約1000度の高温で焼いた物で、「軽くて強い」のが特徴。従来よりゴルフクラブのシャフトや釣り竿等にも利用されています。 

極めて丈夫な素材で、強度はスチールの約10倍、重量は約25%と、アルミニウムを遥かに凌ぐ高い強度と軽量化効果が得られる為、クルマの骨格に採用した場合、燃費が約40%以上改善すると言われています。 

LFA生産設備

一方、CFRPの生産はかなり厄介で、多工程を要する素材。レクサスLFAの生産現場でも巨大な編み機のような設備が工場内に据えられていました。

年内に欧州で発売予定とされるBMWのコンパクトEV「i3」や、翌年発売予定のPHV仕様のスーパースポーツカー「i8」のボデー骨格にもCFRPが採用されています。 

BMWはこの2台をドイツのザクセン州ライプツィヒ工場で生産するようですが、日本の三菱レーヨン広島工場製のカーボンファイバー原材料「PAN」をベースに米国ワシントン州のSGL社でカーボンファイバー化、その後本国ドイツのSGL工場に送り返してカーボンファイバーシート化、さらにBMWのドイツ工場内で成型・製品化するという多工程を踏んでいます。 

そんなSGL社のまるで自動織機のようなCFRP製造工程がこちら。巨大なカーボンファイバー編み機はレクサスLFA用とそっくりな仕様。

【BMW CFRP製品化までの流れ】 
(1)広島県のSGLと三菱レイヨンの合弁会社MRC-SGLプレカーサー(MSP)で
       カーボン繊維素材の原料となるポリ・アクリロ・ニトリル(PAN)を生産 

(2)米国ワシントン州の「SGLオートモーティブ・カーボン・ファイバー」社の
   モーゼスレイク工場で カーボン・ファイバー(炭素繊維)に加工

(3)ドイツの「SGLオートモーティブ・ファイバーズ」社ヴァカースドルフ工場で
    炭素繊維織布化 

(4)ドイツ バイエルン州のBMWランズフート工場で成形・製品化   

(5)ドイツ ザクセン州のBMWライプツィヒ工場で実車に組付け 

このようにCFRPは生産に手間がかかる為、コストも鉄の10倍以上と半端無い素材ですが、BMWはそこに目を付けて、従来は一部の特殊用途だったCFRPを生産効率を改善して量販車に採用、コストダウンを図ろうとしている訳です。 

トヨタが1月にスポーツカーの軽量化技術でBMWと技術提携した意図もこの高額素材の低コスト化技術に着目したものと推測されます。 

TORAY TEEWAVE AR1

日経新聞によると、日本でも東レやトヨタ、東京大学などが今年7月から産学でカーボンファイバーを全面的に使った自動車の開発を始める模様。共同開発には、三菱レイヨンや帝人系の東邦テナックス、日産、ホンダ、三菱、スズキ、名古屋大学等も加わるようです。 

加工技術などの研究が進み、2010年代後半には量産車向けに部品を供給できる目処が立ったようで、重量を60%低減したクルマを7年後の実用化を目指して開発予定と言います。 (上画像は東レが開発したCFRPコンセプトカー「TEEWAVE AR1」)

経済産業省が国家プロジェクトとして支援、今年度に約40億円、5~10年間で数百億円を助成する模様。 東大と名大の拠点で量産用技術を確立、部品コストを鉄並みに引き下げるとか。 

2015年頃からカーボンファイバーの世界市場が急速に拡大するとみられているようで、エコカーにもこうした超軽量素材が採用されれば、今後ますます低燃費車の開発に弾みが付くのはどうやら間違い無さそうです。 

■SGLグループ Webサイト
http://www.sglgroup.com/cms/international/home/index.html?__locale=en 

■SGL Automotive Carbon Fibers社 Webサイト
http://www.sglacf.com/

■BMW i3 コンセプト詳細情報
http://www.bmw-i.jp/ja_jp/bmw-i3/#bmw-i3-concept-coupe-electricity-meets-intelligence- 

■BMW i8 コンセプト詳細情報
http://www.bmw-i.jp/ja_jp/bmw-i8/ 

■三菱レイヨン Webサイト
http://www.mrc.co.jp/products/special/  

■東レ カーボンファイバー Webサイト
http://www.torayca.com/

■CFRPコンセプトカー「TEEWAVE AR1
http://www.toray.co.jp/news/carbon/nr110909.html 

■帝人 Webサイト
http://www.teijin.co.jp/products/advanced_fibers/ 

〔関連記事〕
・BMWやVWの欧州勢が軽量コンパクトEVを年内に発売!
https://clicccar.com/2013/04/22/218301/ 

・トヨタとBMWがスポーツカーなどでの協業する狙いとは?
https://clicccar.com/2013/01/25/211690/ 

・「BMW」と「BOEING」がカーボンファイバー技術開発で提携へ !
https://clicccar.com/2012/12/19/207476/ 

・Lexus LFAがまさに『走る軽量化実験室』である理由とは?
https://clicccar.com/2011/10/03/66647/

 (Avanti Yasunori) 

【画像ギャラリーをご覧になりたい方はこちら】  https://clicccar.com/?p=223823

この記事の著者

Avanti Yasunori

Avanti Yasunori 近影
大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからのクルマ好きで、免許取得後10台以上のクルマを乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。