パシフィコ横浜を会場に、5月22日〜24日という平日3日間の開催期間で7.8万人もの人を集めた自動車技術展が「人とくるまのテクノロジー展2013」です。今回で22回目となる、自動車業界ではおなじみのイベントとなっています。
いまや日本のマーケットではハイブリッドカーへのニーズは高まっているのがトレンドといえますが、この展示会でも電動化技術、ハイブリッドに対するアプローチを見ることができました。
なかでもユニークだったのは、NSKが展示した「ハイブリッド トロイダル IVT」ではないでしょうか。
2つのディスク間でパワーローラーを傾け、オイルのせん断力によってトルクを伝達するトロイダルCVT。それを世界で初めて実用化したNSKは、さらに世界初となる前輪駆動車へ搭載可能なトロイダルバリエータ(無段変速機)を開発しています。
その前輪駆動車用トロイダルバリエータ、遊星歯車と組み合わせたのがIVT (Infinitely Variable Transmission)。さらに、20kW級のモーターをビルトインしたのが、この「ハイブリッド トロイダル IVT」となります。
変速比無限大というIVTの特徴を活かして、小型モーターでも十分な駆動トルクを実現することでコストダウンにつなげ、また高速域でのエンジン回転低下や回生領域の拡大による燃費向上というメリットを持つシステムということです。
展示されたユニットは、3.5LクラスのV6エンジンとのコンビネーションを想定しているそうですが、1.8Lエンジンとの組み合わせたときのシミュレーションでは39.3km/L(10・15モード)の燃費性能が狙えるとのことです。
そのほか、国内の大手変速機メーカーといえるジヤトコとアイシングループでは次のようなハイブリッドシステムを展示していました。
CVTにおいて世界トップシェアを誇るジヤトコが展示していたのは「Jatco CVT8 HYBRID」のカットモデルです。
北米向けの日産パスファインダー・ハイブリッドに搭載されているという中・大型FF車用ハイブリッドトランスミッションは、ワンモーターに2つのクラッチを組み合わせることで、モーターだけのEVモード走行も可能なパラレル式ハイブリッド・ユニット。コンベンショナルなCVTではトルクコンバータの収まるスペースに、モーターとクラッチをセットすることで、優れた搭載性を実現していることがポイントといいます。
そのジヤトコでは、日産フーガ/シーマに採用されているワンモーター・デュアルクラッチ・7速ATハイブリッドも展示していました。
そして、有力国産トランスミッションメーカーといえば、アイシン・グループの展示も見逃せません。こちらでは、2つの縦置き用ハイブリッドシステムを並べて展示していたのが印象的。ひとつはクラウンやレクサスISに搭載されている、おなじみの2モーター式ハイブリッドシステム。
もうひとつが、ワンモーターと6速ATを組み合わせた商用車用ハイブリッドシステムです。こちらは、モーターにエンジン切り離しクラッチを内蔵させることで、コンパクトなユニットとした上で、走行中にエンジンを切り離すことができ、エネルギー回生に有利というのがポイントということです。
ジヤトコやアイシン・グループが示したユニットの一部は2011年の東京モーターショーでも展示されていましたが、2013年の東京モーターショーでは、ハイブリッドをはじめとしたトランスミッションに対して、どのような提案があるのか楽しみといえそうです。
(山本晋也)