米国に於ける2013年4月の新車販売台数は128.5万台(前年比+8.5%)で、年初からの累計でも497.4万台(同+6.9%)と好調ぶりを維持した形となっています。
特にGMなどBIG3が大型ピックアップやSUVで大きくシェアを伸ばしています。これは米連邦準備理事会(FRB)による事実上のゼロ金利政策が背景に有る為と見られ、ディーラーではローン販売競争が激しくなっているようです。
「シェールオイル」の影響でガソリン高への警戒感が薄れていることも一因。
日本勢ではトヨタが4月末までに累計70.6万台(前年比+6.1%)を販売して米ランキング3位(シェア14.2%)につけていますが、4月単月ではカムリが3.2万台(-13.9%)、プリウスが2万台(同-21%)と主力車種で販売を落としている状況。
これは米国での人気車種が大型PUやSUVに移っている影響が大きい為とみられます。
ホンダは累計46.9万台(前年比+6.0%)を販売して米ランキング5位(シェア9.4%)につけており、比較的堅調。
日産は累計40.6万台(同+3.2%)を販売して米ランキング6位(シェア8.2%)につけています。同社の場合、4月にアルティマの販売などが伸びたことで復調。
スバルも累計販売12.5万台(同+17.4%)を販売して米ランキング10位(シェア2.5%)にランクイン。
このように年初からの累計販売台数上位10位圏内に日本勢が4社ランクインしており、米市場に於ける販売シェア34%を占有。 こうした販売好調を踏まえて自動車大手が北米で相次いで生産能力を増強する模様。
急回復する米国市場への新車供給力向上と今後の市場拡大が見込まれる中南米への輸出拠点にすることが目的と言います。 また、円高が急速に是正されつつあるものの、将来の為替変動リスクを減らす為にも各社が現地生産の体制整備を急いでいるという訳です。
トヨタは先日、2015年夏に北米向けの「レクサスES350」の生産を日本から米国へ移すと発表。日産も「インフィニティ」を2015年に英国で、続いて2017年頃に米国でも生産する方針。
富士重工業についても販売が好調な米国での新車供給力増強に向けて、2016年度を目処に年間生産能力を約40%増の約37万台に引き上げる予定。
ホンダは2014年春の稼動を目指してメキシコに年間20万台規模の新工場を建設中。
マツダも 2013年度中に稼動予定のメキシコ新工場の年間生産能力をトヨタからの小型車委託生産も踏まえて当初の14万台から20万台以上に引き上げる予定とか。
ホンダやマツダがメキシコで生産を増強するのは自由貿易協定(FTA)を利用して関税無しで米国に輸出できる利点がある為とみられます。
以上のように、円安で輸出に有利な状況となっていながらも米国等での現地生産増強を加速させている背景は①米国の新車販売が好調で現地生産能力が不足していること、②将来の為替変動へのリスク低減、③TPP輸出関税撤廃見送り等が主要因と言えそうです。
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