上海モーターショーが4月20日に開幕(~4月29日)、世界最大の自動車市場である中国での販売拡大を目指して18カ国から約2000社が出展しています。
尖閣諸島を巡る日中関係の悪化により、日本車の販売は現在も回復途上で、日本勢は最新モデルやHVなどの環境技術をアピールして巻き返しを図ろうとしています。
一方、中国政府は従来よりEV拡販に向けた補助金政策を実施して来た為、HV販売は小規模に留まっていましたが、EVの普及が思うように進まない事や、以前にも触れたとおり、昨今の大気汚染対策の緊急性などから、より現実的な選択肢としてHVの普及推進を検討し始めた模様。
ブルームバーグによると、3月には中国工業情報相が補助金の対象をHVにも拡大する可能性を示唆していると言います。
トヨタは1997年の初代プリウス発売以降、2013年3月末までに世界累計で500万台のHVを販売していますが、中国に於いては2005年のプリウス投入から現在までにカムリやレクサスなど7車種で計1.7万台のHVを販売するに留まっています。
同社は2012年に於ける中国市場での年間販売総台数を100万台に乗せる計画でしたが、結果的に84万台となり、2013年度の販売計画を年初に90万台に下方修正しました。
そうした中、中国政府がEVに代わってHVに着目し始めた事は中国で合弁会社を立ち上げる時点で政府との交渉がギクシャクして欧米メーカーの進出に大きく遅れをとったトヨタにとって、またと無いチャンスと巡って来たと言う訳です。
トヨタは今回の上海モーターショーで新型車2台とコンセプトモデル2台を出展。
新型「Yaris(ヤリス)」と「VIOS(ヴィオス」は昨年北京モーターショーに出展したコンセプトモデルをベースにした市販仕様で、2013年末より中国で生産・販売を順次開始する模様。
また「云動双擎II(ユンドンショワンチンツー)」と「TOYOTA FT-HT悦佳(ユエジャ)」の2台は中国専用のコンセプトモデルで、こちらの発売は2015年頃の予定。
「云動双擎II」は2010年設立のトヨタの研究センターで開発を進めているHV仕様モデルで、「TOYOTA FT-HT悦佳」は中国の若い世代向けを想定した6シーターのコンセプトモデルとなっています。
プレスカンファレンスで内山田副会長は「トヨタは1964年にクラウンの第1号を中国に輸出以来50年、この成長する中国には必ず近い将来HVが必要になって来ると確信していた。これからの50年も中国に根付いたトヨタとして貢献していきたい」とコメント。
確かに特別なインフラ整備を必要としないHVは中国市場の実情にマッチしていると思われ、今後トヨタの中国市場に於けるシェア拡大に大きな役割を果たすことになりそうです。
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