先日お伝えしたとおり、TPP参加に関する日米合意文書で米国への自動車輸出関税撤廃が「最大限に後ろ倒しされる」と明記されたことで、オーストラリアなど、他国についてもこれに続く動きが出始めています。
これにより、日本の自動車業界がTPPに期待していた主要輸出先に於ける関税撤廃が直ぐには実現しないことがほぼ確定。こうした背景の中、トヨタ自動車は2013年4月19日、「北米向けのレクサスES350の生産を日本から米国へ移す」と発表。
2012年に販売したレクサス約47万台のうち、海外販売が約90%を占めており、うち24万台が米国向けで、中でも「ES350」はRXに次ぐ主力車種。
トヨタは「RX」を既にカナダで生産しており、今回の「ES350」はそれに次ぐもので、国内生産から米国生産に移行することで、レクサスの海外生産を本格化させたい考えのようです。
新聞報道などによると、今回の発表に際して豊田章男社長は米での現地生産化の理由を「短期の相場変動に影響されない中期的な成長の基盤をつくる為」としています。
トヨタは約3.6億ドルの追加投資により、「ES350」の生産を2015年夏より現在の九州工場から「カムリ」などを生産する北米のTMMK(ケンタッキー工場)に切り替える予定で、これにより年間生産能力は10%増の年55万台となり、新規に750人を雇用する模様。
九州工場でも引き続き、アジアや中近東向けのES350、ES250、ES300hを生産すると共に、2014年後半に8万台/年規模の新型SUVの生産を予定している他、既存車種も増産するようで、現状並みの30万台生産を維持、豊田社長が掲げる「国内生産年300万台を死守する」方針を今後も維持する意向と言います。
一方、日産も「インフィニティ」を米国で生産する方針とか。
このように日本の自動車メーカーはTPP事前交渉段階での米国への譲歩を機に、直近の円安傾向に左右されること無く、モノづくりの基盤となる国内工場の稼働率確保と米国や新興国などでの海外生産拡大を平行して進めていく考えのようです。
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