【マツダ・アテンザ試乗レポート4】よりの続き
セダンとワゴンで全長が違うそのワケは?【マツダ・アテンザ試乗レポート 1】で紹介したように、ワゴンはセダンに対して全長で6cm短く、ホイールベースが8cm短く、全高は3cm高い。
この差がどんな具合に感じられるのか? ということだが、うんと大雑把な印象で言うと、セダンのほうがドシッとした落ち着きがある。いかにもセダン向けの安心感のある味付けといった感じ。
一方ワゴンは硬いボディが小気味よくクイックイッと曲がってくれるような運動性の良さが感じられた。
これはセダンが大味で、ワゴンがシャープなハンドリングを持っている、というような単純なさではない。いずれにしてもボディの剛性感はなかなかのもので、かなりガシっとしたシッカリ感のあるボディに仕上がっている。
足回りの味付けも操縦性をきっちり煮詰め仕上げている。
セダンに乗ってこの大柄なボディでこれほど気持ちよく曲がるのかと思ったし、ワゴンに乗っていて、その直進安定性、リヤサス回りの安定性の高さにも感心した。
運転席での乗り心地も良かったのだが、リヤシートにのった人からは「多少コツコツした硬さが来る」という声があったので、リヤサスはやや硬めにセットされているのかもしれない。その理由は、FFでありながらリヤサスにしっかり仕事をさせて操縦性を作り出そうとしているのだろう…と思う。
フロントタイヤが曲がっていくというよりもボディ全体が曲がっていくといった印象で、セダンは重心が低くタイヤが車の4隅にあるような安定感がある。しかもコーナーではオン・ザ・レール感覚の旋回感がある。ワゴンはセダンに比べるとやや重心が高い印象で、その重心の高さを利用してクルマのロールを作り出しリズムよく曲がっていく、そんな操縦性だ。
ただいずれもその乗り味は質感の高い上質なもので、ダンパーのオイルの感触は、国産の粘度の低めのものではなく欧州風のしっとりした粘度を感じる。これに関しては確認していないのだが、乗り味としてそんな風味に仕上がっている。
単純にキビキビ走るとかモッサリしているといった差異になっていないところが悩ましいところで、そういう意味でどちらを選んでもいいのだが、個人的な好みで選ぶとすると、長いホイールベースを気持ちよく旋回させるようなセッティングの妙味に1票。セダンを選ぶ。
【マツダ・アテンザ試乗レポート6】へ続く
(斎藤聡)