大手サプライヤーZFは省燃費パーツを供給して北米市場で成長する

2012年にドイツのメディアで「イノベーション・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたZF(ゼット・エフ)の9速ステップATは、FF用としては世界一といえる多段化により省燃費性能を追求したテクノロジーですが、こうした燃費に貢献するパーツによって北米市場での成長を加速させようという同社の狙いを、シュテファン・ゾンマーCEOが語りました。

『アメリカで現地生産する最新鋭トランスミッションを軸に、2015年までに北米市場で売上高55億米ドル(40億ユーロ)を目指す』。

北米に22箇所(アメリカ16箇所、メキシコ6箇所)という生産拠点では、乗用車向けオートマチック・トランスミッションのほかに、フロント/リヤのアクスルシステムを製造しているそうです。そうした各工場で作られている製品から、とくに環境性能に効果的ないくつかが2013年デトロイトモーターショーでは展示されていました。 

前述した横置きエンジン用9速ステップATは、従来の6速ATに比べて10~16%の燃費改善につながるそうです。

ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)製のリーフスプリングを左右を渡すように配置して、スプリングとして機能させると同時に位置決めも担うというリヤ・サスペンションのモデルは軽量シャシー技術としての提案だそうです。

FF乗用車向けの提案としては、CDC(減衰力連続可変制御)+1XL(ワン・アクスル)というシンプルかつハンドリングに貢献するシステムに注目でしょう。左右のダンパー減衰力をコンマ秒で変化させることで、タイヤの接地性能を向上させるそうです。 

ZFが、こうしたアイデアを提案しているのは市場における燃費性能への要求が高いためです。遠からず、こうしたパーツを搭載したクルマが続々と誕生するのでしょう。

(山本晋也)

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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