ボーイング787の不具合で改めて注目されているリチウムイオン電池ですが、現在では携帯電話やEV車などに欠かせない上、今後、太陽光発電で取り込んだ電気を蓄える電池としても需要の拡大が見込まれています。
そもそもリチウムイオン電池はSONYが1991年に世界で初めて商品化した「国産技術」ですが、現在では韓国のサムスングループが世界一のシェアを持っており、SONYの電池事業の買収を狙う海外メーカーも有ると言います。
そんな折り、政府系の投資ファンドである「産業革新機構」が、リチウムイオン電池を核とした国内電池事業の再編仲介役を買って出た模様。同機構は海外への技術流出を避けたい意向で、再編により日本勢の国際競争力を取り戻す狙いが有るようです。
読売新聞やNHKが伝えるところによると、国際競争の激しさを増すリチウムイオン電池事業に於いて、産業革新機構の出資を後ろ盾に「SONY」、「NEC」、「日産自動車」3社が電池事業部門の統合に向けて交渉中とのこと。
具体的にはNECと日産が共同で設立した電気自動車向けの蓄電池を手がける「オートモーティブエナジーサプライ」が、SONYの電池事業子会社「ソニーエナジー・デバイス」の株式の大半を取得した上で産業革新機構が「オートモーティブエナジーサプライ」に出資する流れのようです。
但し、現時点ではまだ流動的で、SONYとNEC・日産の間の交渉次第では他の国内企業との交渉に切り替わる可能性も有る模様。
現在、HV・EV車のさらなる普及に於いて、駆動用2次電池のコストダウンが最大の課題となっており、日産は昨年12月に2010年代後半に電池コストを半減する目標を発表。同12日には米国生産を始めた「リーフ」用にテネシー州で米国最大のリチウムイオン電池工場を稼動。
また2013年1月24日には「トヨタとBMWがスポーツカー、FCV、リチウム空気電池などでの協業する狙いとは?」でお伝えしたように、トヨタがBMWと次世代電池の共同開発を発表するなど、今後も各社の自動車用電池を巡る動きが活発化しそうな勢いです。
■産業革新機構Webサイト
http://www.incj.co.jp/
■オートモーティブエナジーサプライ Webサイト
http://www.eco-aesc-lb.com/
■ソニーエナジー・デバイス Webサイト
http://www.sonyenergy-devices.co.jp/